今年も残すところあと一週間だ。今年は9月まで新しい映画やアニメを見るブームが訪れていたが、最近はその熱も冷め、今までに観たものをもう一度観たり、テレビドラマを観たりしているので、もう今年中には新しい映画と出会うことはなさそうだ。ということで、まだ2021年は少し残っているが、この時点で今年観たベスト映画をまとめようと思う。
私は今年37本の映画を初めて観た。そのうち(国内で)今年公開されて映画館で鑑賞したのが10本、昨年までに公開されて自宅や午前十時の映画祭などで鑑賞したのが27本であった。この中からそれぞれ3本ずつ良かった映画を挙げ、それぞれの感想を書く。
新作映画編
第3位 サイダーのように言葉が湧き上がる
監督・脚本:イシグロキョウヘイ、脚本:佐藤大、配給:松竹、主演:市川染五郎・杉咲花。アニメ音楽レーベル「フライングドッグ」の設立十周年記念作品。昨年何本か劇場で映画を観たときに予告編を観て、他のアニメ映画とは一線を画した色遣いと主演杉咲花の声に惹かれて公開を楽しみにしていた。他人から話しかけられないように常にヘッドホンを付け、俳句をSNSに投稿するのが趣味の男子高校生チェリーと、SNSで配信ライブを行ってそれなりにフォロワーがいるが、歯の矯正器具がコンプレックスで顔を隠す女子高生スマイルがショッピングモールで出会うボーイ・ミーツ・ガールもの。互いがコンプレックスを少しずつ受け入れていきながら距離を縮めていくさま、チェリーが詠む俳句の瑞々しさ、それを実際に詠んだのが現役の高校生たちであること、素直に心動かされるクライマックス、色彩設計が80年代っぽいポップな色合いながら違和感は大きくないところなど、総じて好きな映画だった。
主題歌のnever young beachは名前は聞き覚えがあったものの、まともに曲を聴くのが初めてだった。それで調べてみたらボーカルは高橋一生の弟だった…どおりでええ声なはずだ!Σ( ̄□ ̄;)
第2位 映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園
監督:高橋渉、脚本:うえのきみこ、配給:東宝、主演:小林由美子。映画クレヨンしんちゃんを劇場で観るのは、小学校の頃に「夕陽のカスカベボーイズ」を観て以来17年ぶりだった。昨年たまたまTwitterで全作品のテイストを二軸で表現する画像を見て、アマプラで5本くらいクレしん映画を観る機会があったので、クレしん映画の中にも子どもにフォーカスした作品とオトナも楽しめる作品があることを認識していた。そんな中今作はTwitterでやたら評判が良く、公開が終わるまでに是非見ておきたい作品だった。今回はミステリーものだったが、ゲストキャラを全員劇中で起こる事件の容疑者にして、かすかべ防衛隊のメンバーがそれぞれ尾行することでキャラクターを深堀りする構造がとてもハマっていた。そして多様性を受け入れてくれて、観た後に前向きになれるメッセージが詰まった作品だった。より詳しい感想は来年のBD発売日に投稿する予定。
追記:投稿しました。
第1位 クルエラ
監督:グレイグ・ガレスピー、脚本6人、配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン、主演:エマ・ストーン。泥棒×ファッション×UKロックのクライムコメディー。ブリティッシュミュージックをふんだんにまぶした劇伴は劇場で座席に座りながら踊りだしたくなるくらいで、主人公が作り上げていく服装のファッションセンスはプラダを着た悪魔のようにハイセンスかつゴージャスで、泥棒の犯行現場はオーシャンズ8のようにハラハラして爽快で、カメラワークはラ・ラ・ランドのようにハマってて、2つの素顔を使い分けるエマ・ストーンとエステラを雇う強敵感抜群のバロネスを演じるエマ・トンプソンのダブルエマも最高で、最後まで展開が読めなくて2本の映画を観終わったかのような満足感を得られる完全無欠の映画だった。唯一ネックがあるとすれば本作で描かれているクルエラと、過去に101匹わんちゃんで描かれていた悪役としてのクルエラとの連続性だそうだが、私は幸いにして(?)101匹わんちゃんの内容を完全に忘れて観に行ったので、その点は全く気にならずただただ爽快な気分で映画館を後にした。これまでに観た約180本の映画の中でも最も好きな映画になった。
旧作映画編
第3位 WOOD JOB!~神去なあなあ日常~ (2014)
監督・脚本:矢口史靖、原作:三浦しをん、配給:東宝、主演:染谷将太。友人と2日で4本の映画を観るお正月アマプラウォッチパーティ祭りを行ったときに観た1本。カタログに写った女性に惹かれて林業が主幹産業である山奥の村を訪れ、林業を1から始める話。自分と全く文化の違うコミュニティに飛び込んで、最初は全く溶け込めなかった主人公がだんだんとその文化に馴染んでいく様子が、私が大学時代を過ごしたコミュニティに通じるものを感じて爽快感もありかなり楽しめた。まあ最後に出てくる奇祭はドン引きしたけど、そこもまたリアリティを持って描かれていて良かったかもしれない。
第2位 きっと、うまくいく (2009)
監督・脚本:ラージクマール・ヒラーニ、脚本:ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー、アビジャート・ジョーシー、配給:日活、主演:アーミル・カーン。前述のお正月アマプラウォッチパーティで観た映画の他の一つ。初めてのインド映画で、かつおそらく今年観た映画で最長の上映時間という異端な作品だった。大学で親友同士だった3人が、在学当時に「10年後の今日母校へ戻り、どちらがより成功したかを見せ合う」という賭けをしてそのうち2人が集まる。現れなかったランチョーは大学を卒業して以来消息を絶っていて、2人はランチョーを探す旅に出る。その道中に在学当時の回想場面が挟まりながら、2つの時間軸で物語が進んでいく。劇中でのランチョーの行動は浮世離れしていて突拍子もないものばかりだが、その姿を見ると元気が出てくる。彼の口癖である「All is well.」とともに前向きになれそうな気がしてくる。長い映画なのでくり返し観るのは大変だが、必ず一度は観てほしい映画。ちなみに主演のアーミル・カーンは水をめちゃめちゃ飲むことで肌の若さを保ち、当時44歳で大学生役を演じたそうだ。しゅごい。
第1位 ガールズ&パンツァー劇場版 (2015)
監督:水島努、脚本:吉田玲子、配給:ショウゲート、主演:渕上舞。公約を果たし廃校を免れたはずの大洗女子学園が、公約は口約束だからという文科省の難癖によりまた廃校にされかけ、大学選抜チームに勝利すれば今度こそ廃校を免れるという確約を得たため、大洗女子学園は彼らに立ち向かうのだった。というお話。ガルパンはけっこう観客に媚びる要素もちょこちょこ感じられるが、それを抜きにしても、特にこの劇場版は完成度が高かった。私の好むアニメの中ではかなりキャラクターというか各学校の性格が国に対応してデフォルメされている作品だが、逆にそれが面白い。そしてTVシリーズでのトーナメント戦で培った他校との関係性が今作で昇華される様が激アツである。それに大洗の街を疾走してショッピングモールの中にまで進む戦車がビジュアル的にめちゃめちゃワクワクする。スポ根ものの王道を踏襲しつつ、戦いの見せ方は七人の侍に比肩すると言っても過言ではないくらい魅力的だ。
スタッフとキャストに目を向けると、大学先発チームのリーダーを務める島田愛里寿の声をけいおん!であずにゃんの声を務めた竹達彩奈がやっているのも個人的に激アツポイントだった。水島努監督の作品は今年SHIROBAKOも初めて観てかなり好きだった。吉田玲子さんの脚本作品はけいおん!、たまこまーけっと、映画 聲の形と言った山田尚子監督作品を始めとした沢山の作品でお世話になってきた。この二人のタッグはさすがだなあと思った。
今年初めて観た映画リスト(視聴日順)
テレビアニメ総集編とガルパン最終章と、その他酔っ払ってちゃんと観られなかった映画は除く。
テルマエ・ロマエII |
2014 |
実写 |
日本 |
2014 |
実写 |
日本 |
|
アフタースクール |
2008 |
実写 |
日本 |
きっと、うまくいく |
2009 |
実写 |
インド |
映画「けいおん!」 |
2011 |
アニメ |
日本 |
シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| |
2021 |
アニメ |
日本 |
1996 |
実写 |
アメリカ |
|
名探偵コナン 緋色の弾丸 |
2021 |
アニメ |
日本 |
1987 |
実写 |
アメリカ |
|
1961 |
実写 |
アメリカ |
|
私をくいとめて |
2020 |
実写 |
日本 |
キャッツ |
2019 |
実写 |
英・米 |
1995 |
実写 |
アメリカ |
|
2018 |
実写 |
アメリカ |
|
過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道 |
2021 |
実写 |
日本 |
イージー★ライダー |
1969 |
実写 |
アメリカ |
2017 |
実写 |
日本 |
|
ロミオ+ジュリエット |
1996 |
実写 |
アメリカ |
Arc |
2021 |
実写 |
日本 |
クルエラ |
2021 |
実写 |
アメリカ |
いとみち |
2021 |
実写 |
日本 |
2014 |
アニメ |
日本 |
|
1952 |
実写 |
アメリカ |
|
サイダーのように言葉が湧き上がる |
2021 |
アニメ |
日本 |
ガールズ&パンツァー劇場版 |
2015 |
アニメ |
日本 |
実写 |
アメリカ |
||
プロメア |
2019 |
アニメ |
日本 |
1987 |
アニメ |
日本 |
|
タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら |
2010 |
実写 |
カナダ・アメリカ |
1991 |
実写 |
アメリカ |
|
2011 |
実写 |
伊・仏 |
|
2007 |
実写 |
日本 |
|
劇場版 SHIROBAKO |
2020 |
アニメ |
日本 |
映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 |
2021 |
アニメ |
日本 |
2009 |
アニメ |
日本 |
|
アイの歌声を聴かせて |
2021 |
アニメ |
日本 |
TOVE |
2020 |
実写 |