読み鍋屋

杓子を逃げしものや何

放課後ティータイムのギタリストとしての唯ちゃんをたどる その2

はじめに

テレビアニメ「けいおん!」の主人公たちが組むバンド「放課後ティータイム」のギター平沢唯の誕生日を祝う企画として、唯ちゃんのギター演奏にフォーカスした連載記事を書き始めた。今回はその第2回。推しのことを存分に語っているので、今回は特別お題「わたしの推し」の応募記事として投稿する。前回同様、本稿では「5弦2フレット」などの押さえる位置を5-2fと略記する。リスナーとしての曲の好きなところも、かつて別稿にまとめたものを再構成してまとめた。今回は「カレーのちライス」「わたしの恋はホッチキス」「ふでペン~ボールペン~」「冬の日」のレビュー。前回の「ふわふわ時間」レビューよりもサクサク行きます。

第1回はこちら↓

「カレーのちライス」「わたしの恋はホッチキス」「ふでペン~ボールペン~」はアルバム「放課後ティータイム」に収録されています↓

 

「冬の日」はアルバム「放課後ティータイムII」に収録されています↓

open.spotify.com

#2 カレーのちライス

2.1. 楽曲レビュー

キーボード、2番Aメロ始まりのジャジーなシンバル、サビの下がりゆくメロディ、「たっぷり!!」が良い。ライブではコールアンドレスポンスがしやすくて皆で盛り上がれる良曲。りっちゃんのドラムのパワーが垣間見えるので、「部室がない!」では教室でこの曲をやって苦情が来た。体育館の練習で澪ちゃんが運動部に見とれてしまってベースを入れそびれるシーンで、澪ちゃんのベースがこの曲を大黒柱のように支えているんだなあと気付かされた。無くなって初めて分かるありがたみ。疾走感がOP群と似ていると思ったが、作った中の人はEDの前澤さんだった。

2.2.演奏レビュー

ふわふわ時間はけっこう難しい技術も出てきたのに(既出の前回記事参照)、この曲は基本的にパワーコードで進行して簡単めである。まあテンポが速いと複雑なことはできなくなるもんね。コード進行もAメロは3つしか出てこないし2フレット分しか手を動かさなくていいから簡単。でもやっぱりテンポ速いから力んで手が疲れがちなので要注意。聴いているときよりも演奏しているときのほうが楽しくて、ギターの練習を始めてからのほうがたくさん聴くようになった。ソロパートは難しい。ここが最大の見せ場。やっぱりチョーキングから入ってるな。「カレーちょっぴりライスたっぷり」のメロディに合わせた単音弾きは、コード弾いてすぐ入るので地味に難しい。そもそもこれがどこに入るんだっけって忘れかける。

2.3.唯ちゃんレビュー

初出1期8話(2年生新歓・2曲目)。2期部室がない回、2期文化祭前リハ、映画(寿司屋ライブ)、*2期23話(3年生卒業前登校日)*1。その他*Studio Mix。たいていイントロと弾き終わりのシーンしか映らないので技術の進歩は分かりづらいかな。

#3 わたしの恋はホッチキス

3.1. 楽曲レビュー

あずにゃんが新歓ライブで聴いて入部するきっかけになった曲。私は飲み友達が、アニメは観たこと無いけどカラオケ仲間の影響でこの歌だけ歌えると言っていたのをきっかけに聴くようになった。素朴なメロディを締まってかっこいい演奏が支える。サビ終わりがアイドル曲っぽい。ストリングスがいいアクセントだけど、純粋なバンドサウンドが楽しめるcassette mixも良き。

3.2. 演奏レビュー

イントロがめちゃめちゃかっこいい。こりゃ唯ちゃんが2年生の新歓ライブで弾ききった後ドヤ顔になって歌を忘れちゃうわけだわ。Aメロに入るとパワーコードでなくフルで弾いていて依然難易度高い。3曲めで唯ちゃんかなり背伸びしたんやなー。5フレットと1フレット同時に抑えるの無理くない?!カポを使うのが妥当なんだろうけど、新歓ライブでカポを使う様子はなし。

【22/3/11追記】ある日の夕方にどうしてもテンションが上がらず、数ヶ月くらいご無沙汰していたけいおん!に元気をもらおうと1期9話を観て、この曲の練習を本格的に始めた。バンドスコアを入手した昨年はまだセブンスコードもカポも知らなかったが、セブンスを習得しカポも買い、先日コードの押さえ方を体系的に整理した*2今、バンドスコアを見直したらだいぶ何をしているのか理解できるようになっていた!ので、改めて書き直す。
まずカポのチューニングはカポをつけてからできるらしい。よくよく考えたらカポごときの力で弦を全部張れるはずがない、極端に言えばカポをつけたあとカポの向こう側で弦を切ったらバチーン!と飛んでいってしまう。閑話休題。基本的に覚えておく必要のあるコードは6弦ルートのFとA7、A、Asus4、5弦ルートのA#、C、A/C#、4弦ルートのF、F/A。フルで弾けたほうが映える。あと間奏で3-12f, 2-13f, 1-15fっていう並び(構成音はGとC)が出てくるけど、これはコードなんだろうか?強いて言えばCとかAm7とかの一部…?

演奏上の注目ポイントを列挙。イントロの入りで忘れずに1-1f・2-1fと3-2fを鳴らすと締まって聴こえる。4-10fは3-10f押さえがち。その直後のテートトテートトの16分音符が未だ弾けない。AメロのFの直後にオクターブ奏法でアクセントを付けるとかっこいいが、相応にせわしなくなる。続けてGm7、Am7ときた後に安心してFの4弦ルートを忘れないようにする。その後AとAsus4で3弦だけフレットをずらすのがおしゃれ。Bメロはミュートで単音と残りの音を交互に弾く。サビはとにかくコード進行を頭に入れよう、話はそれからだ!1番終わりのアルペジオは新歓バージョンのみ。所々で出てくる16ビートがテンション上がるけど、間奏での16ビートからのイントロ回帰はスムーズにやらないとダサくなっちゃうので頑張らねば。その後の間奏はギターだけ聴くと1小節余って聞こえるけど、そこは他の楽器が主役のパートなので音源に合わせて弾くとわかりやすいかも。それに続く大サビ、スコアでは新歓バージョンでアルペジオと記載されてるけど、弾かずにキーボードとコーラスだったり(Studio Mix)、控えめなコード弾きだったり(Cassette Mix)するバージョンもあるのでお好みで。

3.3. 唯ちゃんレビュー

初出1期8話(2年生新歓・3曲目)。イントロを完璧に弾いていたが、歌の入りをミスって最初は澪に歌ってもらう。1期9話ではゆるくて練習をほとんどしない先輩たちの様子を見て、どうしてこの部活に入りたいと思ったのかわからなくなってしまったあずにゃんに再び弾いてあげる。2期1話(朝練;3年生新歓・1曲目。扇風機弾き)では冒頭、登校風景に合わせてソロでコード弾きをしながら口ずさむ唯ちゃんの姿。とてもきれいな音色。上記の追記の際に久々に観たら、首を長くして続編を待ってた当時の視聴者に思いを馳せて、めちゃきれいなギターの音かっけえ!!ってなって涙目になった。2年生新歓で、1年制で自分が歓迎された頃に感動した曲のリードをあずにゃんが弾くのが胸アツ。以下のブログ記事もおすすめ。

sasahira.hatenadiary.org

その他に弾く描写があるのは*2期23話(3年生卒業前登校日)、音源が残るのは*Studio Mix。演奏の分析については前節参照。キーボードの出番もバージョンによって違うのがよき。

#4 ふでペン~ボールペン~

4.1. 楽曲レビュー

2年生の合宿での練習と文化祭での演奏が印象的な曲。個人的にはStudio mixの唯ちゃんボーカルは甘すぎて、1期12話「軽音!」mixのハモリなし澪ちゃんボーカルの方がさっぱりしてて好き。この演奏シーンは2度めに観たとき泣いた。「君の笑顔想像していいとこ見せたくなるよ」って歌詞すごくいい…!!サビのメロディでじーんとする。

4.2. 演奏レビュー

1期最終回mixの構成が好き。おそらくバンドスコアにもこの音源を再現したスコアが載っている。このmixでは唯ちゃんが登場しないのであずにゃんリードギター、さわちゃんがサイドギターを弾いているが、それは唯ちゃんが直前に風邪を引いたから唯ちゃんが出られないときのことを想定してあずにゃんリードギターを練習していたんだった気がする。つまり唯ちゃんがこの曲を弾くとすればリードギターだと仮定して、ここではリードギターの話をする。まずイントロの単音弾きからしてかっこいい。合宿で唯ちゃんがこの曲のチョーキングにちょっと苦戦するシーンがあったけど、その前の年にもっと難しい耳コピしてたよね??(笑)どこを抑えるかは感覚でわかるけど、チョーキングは単純でも難しいんだろうか、そういう人も実際にいるんだろうか。この曲ではこれまでの2曲と違って、2つの弦を両方ちゃんと聴かせられるようにいっぺんに弾くスキルが鍛えられる。地味に鳴らすピックの深さと隣の弦を鳴らさないようにするのが難しい。最近ちょっと感覚がつかめてきていい感じの音が鳴らせるようになった気がする。逆にサイドギターとの分業化が進み、リードギターパワーコードを鳴らす瞬間は基本的にない。2番終わりの2弦いっぺんに弾く、片方はチョーキングというのが出てくる。最近コピー動画を参考に指2本使って持ち上げるようにしてようやくマスターできてきた気がする。その後の大サビ前の演奏もマスターできればこの曲完コピである。「冬の日」の次に完コピに近い曲。

4.3. 唯ちゃんレビュー

初出1期8話(2年生新歓・4曲目)。その後1期10話(合宿、あずにゃんからのチョーキング指導)、1期12話(2年生の文化祭)、2期1話(3年生新歓・2曲目)、2期ゆいあず回(ゆいあず演歌バージョン)、*2期23話(3年生卒業前登校日)。その他*Studio Mix。

おすすめ記事↓

neuler666.hatenablog.com

 

#5 冬の日

5.1. 楽曲レビュー

ポストに無記名で投函されたラブレターまがいの文章(実はこの曲の歌詞)を見て数日間心ここにあらずだった(1期13話)りっちゃんがかわいすぎてもう。メロディがテクニカル。ムギちゃんの作曲センスが日を追う毎に上がっていくのを感じる。雪の積もる街なかをスキップするような弾むリズムが心地良い。Bメロの「切り揃えた髪が」の転がってくメロディはヘビロテポイント高し。「わたしの恋はホッチキス」と同様、ストリングスがあるStudio Mixも、ないcassette mixも良い。でも話し慣れない人と「好き」から話し始めるのはおすすめしない。

5.2. 演奏レビュー

山場は少ないながらかっこいい、Tom-H@ck*3印のコピーおすすめ曲です。Aメロとサビで使われる"トットチャー"というリズムが単純なコード弾きでもかっこよく聴こえる要因なんだと思う。

さてまたとっつきやすいところの話から。Aメロとサビは#1に比べて登場するコードの数が増えたものの、たとえば最初の4小節がD (5-5f)→E (5-7f)→A (6-5f)→G (6-2f)→B (5-2f)→F (6-0f)→A (6-5f)→D♯ (5-4f)とだいたい半小節ごとに推移する親切設計。2番でワウをわんわん言わせてるのはおそらくあずにゃん(にゃんなのにわんわんとはこれ如何に)。最初にほしいエフェクターNo.1はワウペダルです。

この曲に頻出する見せ場はやはりイントロのフレーズだろう。3-2fから指を滑らせて3-9f, 2-10f, 1-10fと指を配置し、ダウンピッキングとアップピッキングを繰り返す術を身につけるには少々の忍耐を必要とする。でも弾き切るとめちゃめちゃいい気分でトットチャーに移行できる。1-3弦ピッキング往来を抜けた後にまた指を滑らせて音を上げ下げ。楽しいね。コピー動画を見ていると、上手な演奏をする人は音を鳴らす前によく指を滑らせて往復させている気がする。その方が弾きやすい理由があるのかな。とりあえずかっこいい。

Bメロも細かいピッキングが登場。2-2fと3-2fの往復から1オクターブ上げの2-14fと3-14f往復へ。その応用編が大サビ前の1-5f固定で2弦は2-7fから2-4fまで移動しながらのピッキング往復。この曲は隣接する弦のピッキングを鍛えられるという点でも良曲なのです。というわけで激ムズピッキングが出てくるわけじゃなくて、ちょっと背伸びすれば完コピ目指せるくらいの難易度だけど、弾けたらかっこいい曲として、私はこの曲を推します。

ただ問題はこの曲が唯ちゃんボーカルであることである。つまり唯ちゃんの腕前に並ぶには曲を弾きながら歌わなくちゃならない。そうするとトットチャーという難易度低めだがイレギュラーなビートも調子を狂わせるし、ピッキングパートは倍くらい難しくなる。でもこの曲に限ってはりっちゃんが澪ちゃんボーカルNGを出しているだろうから(1期13話)、唯ちゃん(の演奏再現を目指している自分)が歌わざるを得ない。今の所私は歌いながら弾くことができない。以降に紹介する曲も同様。

5.3. 唯ちゃんレビュー

初出1期13話(歌詞のみ)。その後*2期23話(3年生卒業前登校日)。その他*Studio Mix。劇中で演奏されるシーンがなくて残念。

*1:*は音源化されている演奏であることを示す。

*2:以下の記事参照。

yominabe.hateblo.jp

*3:けいおん!のオープニング4曲「Cagayake!GIRLS」「GO! GO! MANIAC」「Utauyo!!MIRACLE」「いちばんいっぱい」と映画挿入歌「Unmei♪wa♪Endless!」を作曲したけいおん!音楽部門の功労者。唯ちゃんのギターの中の人もこれらの曲やこれら以外の曲で務める。