読み鍋屋

杓子を逃げしものや何

この錦木千束が尊い!! #1

はじめに

2022年夏クールに最も人気を集めているアニメの一つ、「リコリス・リコイル」。私も数週前からTLで「リコリコ」の文字列を見かけてなにやら評判がいいらしいという情報をつかんでいた。試しに見てみようとスマホ片手に1話を観始めたところに飛び込んできた快活な声。その少女の名は錦木千束(にしきぎ・ちさと)。初見での印象は、おーまた何か感じのいいキャラがでてきたな、声優誰だろう、花澤香菜とか…?いや決め手に欠けるな…*1と一歩引いた目線での評価だった。

1話を観終えた時点では、続きもまあ観てみようかなくらいの好きになり具合だったのに、3話、4話と観進めるうちに、気づけばどっぷりとちさと沼にハマっていた。研究室のデスクトップ画像をちさたき(ちさと・たきなのバディを表す言葉)画像のスライドショーにして、アプリのプレビューをした時に隙間から覗くそのデスクトップ画像を観て人知れずニマニマしてしまう程度には重症である。

彼女のキャラデザだけを取れば典型的なかわいい女子高生という月並みな表現になってしまうのだが、そのずば抜けた魅力は彼女の一挙手一投足である。特に安済知佳が吹き込むキャラクターボイスにその躍動感が現れている。さながら心地よい音楽の旋律のようだ。本稿ではその「声」にフォーカスしつつ、ちさたきが出会ってから仲を深める過程を描く1話から4話までの、ちさとの推しポイントを、台詞とともに紹介していく。…つもりだったが、一時停止しながらどんなところが素敵かをしたためていたら存外に時間がかかりボリュームも満点になったので、一話ずつ記事にすることにした。

なお、ネタバレはあまりしないようにしているが、台詞を取り上げている以上展開の予測はつくようになっている。途中まで読み進めて興味が出てきたら本編を観るのに移行するのをオススメする。

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推し度合いの表記

以下のような基準に従って星でその台詞の推し度合いを表す。

☆★★★★

普通に聞いていて心地が良い。この星の数で取り上げている場合は、声以外の仕草などに特筆すべき魅力を感じたということである。

☆☆★★★

一時停止して聞き返してみたくなる。ここ以上を列挙していく。仕草など声以外の要素を踏まえると☆☆☆★★以上になっていることもしばしば。

☆☆☆★★

心拍数が上がる。声はなんとか留められる。ニヤニヤは抑えられない。

☆☆☆☆★

極まって思わず声を上げてしまう。

☆☆☆☆☆

理性消失。声にならない叫びを上げて思わず体を前後に揺らしてしまう。

推しシーン全集

0:15「今日も天気で私も元気!」☆☆☆☆★

アニメ開始15秒、カーテンを開けて外を眺め、伸びをしながらつぶやいたちさとの第一声。天気の"て"と元気の"げ"にアクセントが来る。ニュアンスが伝わるよう文字起こしすると「今日もッ天気でッ私もッ元気ッ!!」みたいになる。朝一番から元気な様子、その語尾に現れる躍動感がすでに彼女の魅力を隠しきれていない。えっ初見のとき普通に聞き流してたの自分…?信じらんないんすけど…??

聴いているこっちも元気になる。明日から目覚めたら真似してみようかな。

0:34「おっはよせんっせ」☆☆★★★

先生と呼称するその電話越しの声の主にも変わらぬ躍動感。

0:39「えぇ~?まだ約束よりだいぶ早いんですけど~?」☆☆★★★

後半抑えめの口調が良き。緩急が躍動感を際立たせる。ここまで全部の台詞をピックアップしちゃってるな。厳し目に行こう。

0:47「大きな街が動き出す前の、静けさが好き」☆☆★★★

澄ましたモノローグもまた良き。何の予備知識もなく観始めたのに興味をそそられたのはここまでの開始1分の一連の台詞回しによるところが大きいだろう。

1:14「消して消して消して、きれいにする」☆☆★★★

銃声と被せても重たくならないさっぱり感よ。

2:38「6階!?」☆☆★★★

裏声寸前のひっくり返りそうな声が「おジャ魔女どれみ」においてドジを踏んで途方に暮れるときなどに主人公のどれみが発する声みたいでかわいい!彼女にとっては6階までのぼるのは造作もない事なんだと後々わかってくるけど、そういうところでもオーバーアクションなのが彼女の魅力。

5:54「冗談は顔だけにしろよ酔っぱらい」☆☆☆☆★

声のトーン低めで冷たく厳しいツッコミをぶちかますのがめちゃめちゃ笑える。でもかわいい。

6:20「おお~転属組!優秀なのね!歳は?」☆☆☆☆★

おお~転属ぐみぃまではスローペースで、短い息継ぎを挟んだ後に一気に加速して言い切る口調!新たな出会いにテンションが上っている様子が現れており白眉!この台詞のピークがここだと感じたのでここを抽出したが、相棒だと告げられてたきなに向かって話し始めてから終わるまでの「この子がぁ…!!(気持ちタメ)よろしく相棒!!(早口)ちさとです!(気持ちスタッカート)たきな!(気持ちタメ)はじめましてよね!(早口)おお~転属組!優秀なのね!歳は?(ゆっくりから徐々に速く)わーたしがひとつおねえちゃんかぁけどさんはいらないからね、ち・さ・と・で・オォケー~~♪こォの前のあれ、すごかったね~その顔は、名誉の負傷?」初対面のたきな相手にジェットコースターのような緩急をつけながら矢継ぎ早に話しかけていく。ともすれば単調なトーンになってしまうところをこれだけ鮮やかに表現するのが素晴らしい!!

この場面ではまだたきなのことをよく知らないことが窺えるため、新しい子が馴染みやすいように優しくしてあげようという気遣いよりも、ただ純粋に新たな出会いを喜んでいるんだと分かる。その屈託の無さが画面の向こうの我々を元気にしてくれる。たきながどういう印象を持ったかはまだ描かれていない。

6:49「うっせえアホ!!」☆☆★★★

事情を聞いて即文句の電話を入れるええお姉さんや。口の悪さが逆にかわいさを引き立たせる。

6:52「あ、先生のコーヒー飲んでからでいいよ~すごくおいしいからぁ♪」☆☆☆★★

飲んでからでいいよ~のトーンが潜水艦でのんびり進んでいる感じ、絶妙に再現が難しいが耳に残るこの感じ。すごくの"ご"に突き抜けたアクセント。かわかわのかわ。

7:00「あぁーたきな!!…リコリコへようこそぉ~~~♪♪ヒヒヒ♪」☆☆☆★★

語尾に向けてどんどんと上がっていく音程。ヒヒヒはもはや声になってない。最高だ。

と思っていたら、ヒヒヒはCV安済さんがアドリブで付けて、絵を後から足したシーンだったらしい。しゅごい。

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7:35「夢でもカリカリしてんのよ」☆☆☆★★

カリカリ以降はずっと口を横に開けていってる感じ。初変顔いただきました。変顔が可愛いところはけいおん!の唯ちゃんのようだ。というかその躍動感やテンポの良さがすごいのについてくるゆるさは唯ちゃんに通ずるところがある。しかし先程の6:20の初対面シーンや6:49の口が悪いシーンなんかは同じけいおん!で言えばりっちゃん味ある。いいとこ取りだ。

7:44「楠木さんがそう言ってた?」☆☆★★★

目をキラキラ輝かせて嬉しそうなところが良き。ずっと嬉しそうにしていてほしい。

8:05「優秀なリコリスは、DAにいる人だと思います」☆★★★★

ここは声というよりも後ろからのアングルでちさとが後ろ手を組むところに注目した。躍動感はあれど落ち着いた人物であることを表している。

10:32「ヤバイ粉だと思った?思ったでしょ~~♪♪」☆☆☆☆★

いたずらが成功したのを確認するように嬉しさを隠しきれないままたきなに話しかけるその様がかわいい!!!ここまで繰り返しこのテンションの高さをもらって慣れてきたはずなのにそれでも☆×4に到達してしまう!!!

10:41「冗談だよ~~」☆☆☆★★

絞り出すような声と鞄パンの強さがポイント。

10:57「ほう?」☆☆★★★

"う"にアクセントを置く独特な疑問符が良き。

11:13「困ってる人を…助ける仕事だよ」☆★★★★

トマトジュースに手を添えて横にずらすその仕草がかわいい。

12:11「フッヒフ…言うねぇ~~」☆☆☆★★

笑みが抑えられないときってふふっとかよりもこういう声になるよねっていうリアリティある含み笑い!ベンチにふんぞり返って発しているのも良い!!そのあと振りかぶって起き上がる仕草も好き。

13:19「ウヒハハハ…」☆☆★★★

バイト代弾むから、と頼まれた仕事を引き受けてご機嫌のちさとさん。笑顔が可愛い。それを冷静な目で見守るたきなも良き。制服のカラーリングが彼らの性格を表しているようなコントラストが強調されるグッドな構図。ここはウキウキを抑えられないのか手を横に開いて歩くちさと。かわいい。

13:51「あぁいやいや、責めてるわけじゃないよ?」☆☆☆★★

「じゃあなんで撃ったの」って真顔で訊いた後に、調子を取り戻すかのように付け加えたその台詞、本当に責めている訳じゃないんだろうなって信頼できる。じゃあなんで撃ったのでドキッとさせるところは初見ながら見でも耳に残った。てか一時停止して改めて思ったけど、横顔が美ッッッ!!!

14:39「仲間を救った!かっこいいって!…わかった、たきなの復帰に、私協力するよ!」☆☆★★★

指パッチンとウィンクというベタな仕草でさえ魅力的にしてしまう。そこからの「わかった」で手を合わせる仕草でキャパオーバー、一時停止してじっと観てたらニヤニヤを止められない。笑 絵コンテ観てみたい~~~!!

15:00「前の交際相手とか?」☆★★★★

スマホから目を離して、向かいに座る相談相手に顔を向けながらノールックで横に座るたきなにスマホを返す仕草が細かくて、この作画班…信頼できるッッッ!!ってなった。

15:30「ぷぅ~~~~」☆☆★★★

びっくりしてコーヒーを思わず吐く仕草が、唇を震わせて漫画顔に全振りしているのが良き。

15:38「取引の現場写ってんじゃん!」☆☆☆★★

横に座るたきなに体を寄せつつ小声で耳打ちするところの動きが良き良きの良き。そのあとたきなが肩をぶつけ返すところまで好き。

16:16「命大事に、だからね」☆★★★★

口調はここまで狂いっぱなしで耐性の付いた私にとっては心地良いくらいで済んでいるが、「命大事に」はちさとの理念を表す重要な台詞なので、初出のこの時点を記録しておく。その後に続く「今夜は大いに盛り上がりましょ~~!」がすでに盛り上がっていて、どっちかというとこっちのほうが推しポイントである。「テンション高い娘ね、不安が吹っ飛んじゃった」という相談相手の台詞に赤べこ。「私はあの人不安ですよ」「優秀な人らしいですが、…見えませんよね」というたきな、ここでようやくこの時点でのたきなによるちさとの評価が明示される。

18:17「何してんの!」☆☆☆★★

たきなを初めて追及するセリフ。なンにしッてンの、みたいな、もったりした口調がクセになる。

18:25「ちょーちょちょちょ」☆☆☆★★

叱っているときまでその魅力が尽きない。途方に暮れる。数分前まではドジっ子の先輩をたしなめる後輩みたいな構図だったのに、ここから暴走気味の後輩を犬のリードを引くようにたしなめる関係性が垣間見えていくのが良きなのです。

18:34「(この女がどうなっても良いのか!!)んん…」☆☆☆☆★

「ほら言わんこっちゃない」と言いたげな声にならない声がもう!!!うわあああ!!!

18:54「…あ音出してね」☆☆☆★★

7時方向にいるドローンを把握している有能さと、テキパキしていながらもいつもののんびり感を忘れない様。最初の「…」の間が長すぎず短すぎず絶妙。ここからどんどんとカッコよくなっていく~~~

19:10「やあ、取引したいんだけ…ど」☆☆☆☆★

敵がドアに伏せ終わり窓越しにドアの向こうを見るとそこにいるちさと!!演出の視線誘導が神!!ほんで銃撃をかわした髪がそよ風のように揺れるのが本作随一の推しポイントです!!!「やあ」って挨拶、ここまでの19分で形成されたちさとのイメージと完全に解釈一致っすセンパイ!!!その後のソツのない動きとかカッコイイキメ顔とかずっと推せるシーンが続くのだが、それは台詞外なのであえて伏せておくとしよう。実物を見よ!!

20:23「じゃあよろしくおねがいしまぁす」☆☆☆★★

”ま”にアクセント。全て事を終えた後の涼し気な業務連絡!!かっけえ!!!

一つ前に取り上げたシーンからここに至るまでの涼し気なトーンは、演出によるディレクションのあった場所とのことだ。激しいアクションをこなしているはずなのに楽しそうな様子を見せることでちさとの只者でない感を表現する意図であるそうで、それが私にはバッチリ伝わった。

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集計結果

さあ、ここまで列挙した推しポイントを目次で振り返ってみましょう。

ランクごとのシーン数は以下のようになりました。

☆☆☆☆☆:0

最高評価はそう連発してはいけないものです。なんとか理性を保った。

☆☆☆☆★:6

危なかったところが6箇所。

☆☆☆★★:11

アイキャッチ明けのBパートに集中しておりました。

☆☆★★★:11

序盤ちょっとでも良い…!!と思ったら一時停止しまくっていたので、後半は耐性がついてちょっと回数が減った。

☆★★★★:4

声以外の特筆すべきちさと推し仕草が4箇所ありました。やはり声の演技だけでなく演出や作画すべてが合わさってこそのちさとです!!

1話のベストシーン

第1話の推しシーン全32シーンの中でも最高評価☆☆☆☆★をゲットした6つのシーンから、私が選ぶ最高のちさと推しシーンは…

10:32「ヤバイ粉だと思った?思ったでしょ~~♪♪」

です!!絶えずご機嫌なちさとに前半で心鷲掴みでした!!冒頭のセリフとどっちにするか悩んだけど、最初で最高のシーン来たと捉えられてしまうと、なんかその後が魅力ないみたいな感じになっちゃうので、だんだん彼女のパーソナリティが見えてきて慣れてきたはずなのに、それでも☆×4になってしまうこのシーンにしました!しつこいかもしれませんが、この評価は純粋に声を評価対象にしたものなので、ラスト5分は台詞がなく動きで魅せるとってもいいシーンなので、是非皆さんの目で見届けてほしいです!

かわいいシーンやかっこいいシーン目白押しでございました。やはり人の印象は、顔と同じくらい声にも左右されるものです。ちさと尊いという気持ちと同時に、この自由なイントネーションを表現しているCV安済さんにも感銘を受けている。勉強になりますっっっ!!

その他の人物の見どころ

5:22 みずき「そのおっさんでもねえよぉ!!」

キレッキレのツッコミを炸裂させる年上のお姉さん、みずき。彼女にもけいおん!のさわちゃんに躍動感を足したようなテンションの高さが魅力的。この後しばらくちさととの掛け合いが楽しめる。

9:38 場転

もはや声でもなんでもないのだが、たきなが喫茶リコリコの取引先を巡るシーンで、表情アップでトン!という音とともに背景がパンっと切り替わるのが爽快で好き。

9:58 組の下っ端「マジすか…」

その前に啖呵を切ってた組の新入りがぼそっというその緩急、音響監督がこのド脇役にまで徹底しているのが窺えて良き。

21:36 みずき「ひがみじゃねえよ!」

いやほんとちさととみずきの掛け合いおもろいわー。こういう弾んだ口調身につけたいな。スタッカート口調だな。

その他の感想

リコリスとはヒガンバナの学名であるらしい。なぜ彼らはヒガンバナに例えられているのだろうか。ちさたきの不吉な未来を暗示しているようで怖い。

*制服が可愛い!!鮮やかながらも落ち着いた赤と紺に、差し色のグレーがとても似合う!そして右胸前に飛び出る布、左胸側に偏ったボタンのアシンメトリーさがオシャレ感を際立たせる。

*ちさたきはゆいあずに通ずるところもあるが、ちさとはそんなにドジをふまない。たきなのイントネーションはあずにゃんに近い気がする。でも行動とか口から出る台詞はやはり違った個性を感じる。普段のごきげんな様子とガンアクションのかっこよさのギャップ萌えが過ぎる。

*聖地が実家から電車で一本で行ける場所なので、今度帰省したとき行ってみようかな~~~♪

この真ん中の子がちさとです。上のおっさんじゃねえよっ!!ってツッコミを入れそうなみずきさんは右側。

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さあこのリンクから本編を観るのです!!

2話に続く

yominabe.hateblo.jp

 

22/8/8提出 22/8/10修正 22/8/11投稿

*1:すっかりハマってから聴いてみるとハッキリと違う。