読み鍋屋

杓子を逃げしものや何

この錦木千束が尊い!! 総集編

はじめに

テレビアニメ「リコリス・リコイル」の主人公・錦木千束(にしきぎ ちさと)の声の魅力に惹かれ、ちさとボイスが素敵なシーンを集めて、全15回に渡って紹介してきた連載記事「この錦木千束が尊い!!」がついに全13話のレビューを終えた。本稿では全話の集計結果を振り返ったり、全話のベストシーンとともに、千束の声が"尊い"ってどういうところ?を改めて考えたりする。

各話の記事へのリンクをご用意しました。

#1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #8

#8.9 #9 #10 #11 #12 #13A #13B

目次

集計結果

全シーン一覧

早速全13話でピックアップしたシーンの分布をバブルグラフでご紹介。☆★★★★から☆☆☆☆☆の5段階評価で、バブルの半径が☆の数に比例する。

ピックアップしていた台詞は全部で320個だった。各話24分で合計312分なので、ほぼ毎分ペースだった!連発してるところが濃く見える。7話から10話までの13分前後になんか固まってんな。そして後半のほうが集中している時間帯が多い気がする。

じっと見てると、どこにどんなシーンがあったかが手に取るように見えてくる。逆に分布がぽっかり空いている時間帯もちさとの登場していなかったシーンを思い出させる。この図の丸の一つ一つがこんなふうに見えてきて、笑ったり涙ぐんだりしちゃうのである…😌

評価の内訳

☆5はわずか5個。最高評価の威厳を保った。その5個は

  • 私はきみと逢えて嬉しい!嬉しい嬉しい!! (#3 15:16)
  • ミッションスタート (#7 13:43)
  • やるなあ、千束を欺くとは (#7 20:04)
  • 自分でどうにもならないことで悩んでもしょうがない!受け入れて、全力!だいたいそれで良いことが起こるんだ!それに、たきなの計画は大成功してるよ?今日はめっちゃ楽しかったぜ。やるな (#9 20:57)
  • 今のままでも好きなものはたくさん。大きな街が動き出す前の静けさが好き。先生と作ったお店、コーヒーの匂い。お客さん。街の人。美味しいものとか、きれいな場所。仲間。一生懸命な友達。それが私の全部。世界がどうとか知らんわぁ。 (#13 8:36)

でした。☆4も厳しめに評価したつもりだったけど50個も!☆3ははしゃがない限りつけてなかったはずだけど☆3~5で200個!!笑

時間帯

各話を6分刻みで4等分してシーン数と累計☆数を集計してみた。左から0-6, 6-12, 12-18, 18-24分と並ぶ。

後半に向かうにつれてシーン数が増えており、累計☆数はシーン数よりも増加が目立っており、後半に見せ場を持ってくるのが上手だったことが窺える。前半2つ同士と後半2つ同士はほとんど同じなのが興味深い。やはり前半と後半で緩急を強く意識していたのだろう。最初の6分と最後の6分はOPとEDが挟まるので不利なはずが、中盤に引けを取らなかった。

ランキング

お次は色んな切り口でランキングを付けていきます。

話数別台詞数

まずは好きな台詞の数順に各話を並び替えたランキング。台詞の数が同じ場合は合計☆数で順位付けしています。これをそのまま好きな話数ランキングにしても納得できるくらい、神回揃いのランキングに!

1位:13話(34シーン、☆91)

かっこいいちさと、素直なちさと、元気なちさと、ツッコミキレッキレなちさと、これまでの千束の尊い要素を沢山詰め込んだ最終話が堂々第1位!

2位:3話(32シーン、☆97)

千束とこのアニメが好きになったきっかけ、フキとのやりとりも魅力的な3話が第2位!のべ星数では1位!!

3位:1話(32シーン、☆83)

好きになってからちゃんと見返したら初回からめちゃめちゃ尊いシーン連発してたやないか!!3位!

4位:7話(31シーン、☆90)

わさびのり子潜入作戦の7話が可愛いシーン連発で4位!

5位:9話(29シーン、☆87)

前半とにかく辛かったあの9話…後半巻き返すように素敵な千束沢山で5位!!

最大瞬間風速

1話を4分割して6分間あたりの台詞数で見てみたら、名シーンがさらに浮かび上がってきた!こちらも話数ランキングと同じ基準で順位付け。

1位:13話18-24分(15シーン、☆41)

たきなと再会してお店でドリンクを飲みながら状況整理する場面から、EDを挟みハワイに行くまで。☆4だけでも「だって、気づいたら病室で独りだし、なんか手術されててめっちゃ痛えし、こりゃもう死ぬなあと思って」「めっちゃかわいいまで言われてたし」「え?…えー!!お前だお前ーー!!!」「よーし、行くぞ相棒!」と4つも🤭1分以上がEDというハンデを背負ってなお1位!!

2位:9話18-24分(13シーン、☆43)

たきなが千束とのデートの提案をするところからデートの終わりまで。全話で一番無様に泣いた。☆4以上が「よーし!千束さんがたきなの冬バージョン選んじゃるよー!」「何でこんな急いで…」「自分でどうにもならないことで悩んでもしょうがない!受け入れて、全力!だいたいそれで良いことが起こるんだ!それに、たきなの計画は大成功してるよ?今日はめっちゃ楽しかったぜ。やるな」。その他も全部☆3以上。気づけばあの放映日からもう2ヶ月経っちゃった…!!

3位:7話12-18分(11シーン、☆38)

ミカが逢引のために喫茶リコリコを出るのを見送るところからbar forbiddenでヨシさんを見送るところまで。車の移動から潜入までが神。☆4以上の台詞数がダントツの6つ。「なんちゅうこと言うんだ貴様」「やべえなこの雰囲気!」「ミッションスタート」「え…ヨシさん…なの…」「ごめんなさい!先生のメールをうっかり見ちゃって…」「またお店で…!待ってますから!…待ってます…」ワクワクしてテンション上がってる千束とヨシさんの前でしおらしくなる千束、どっちも良きでしたね。。。

4位:11話12-18分(11シーン、☆29)

話数別ベスト5に入らなかった11話が4位に!アバンを除いてAパートに一切出番がなかった回だ。しかも最初の推しシーンが15:46なので、実質2分ちょっとでこのシーン数!やっぱり戦闘中に活き活きしてる千束カッコイイ!!!この回では☆4以上はおあずけしたのでした。

5位:1話6-12分(11シーン、☆28)

たきなとの初対面から初めての外回りの途中までが5位に!☆4は「おお~転属組!優秀なのね!歳は?」「ヤバイ粉だと思った?思ったでしょ~~♪♪」の2つでした😌

各話ベストシーンから見えてくる千束の色々な”尊さ”

各話でベストシーンに選ばれたシーンと、次点でどちらにするかめちゃめちゃ悩んだり、星が一つ少なかったから仕方なく退けたものの、並の回(まあ全部神回で並の回なんてないんですけれども。笑)ならベストになってたりしたシーンを紹介しまぁす!

話数の表記がある、太字にした台詞が各話ベストシーン。下に並ぶのが同じ話数の次点のシーン。どう尊いかもカテゴリ化してみる。

ep 時間 台詞 カテゴリ
1話 10:32 ヤバイ粉だと思った?思ったでしょ~~♪♪ 元気
  0:15 今日も天気で私も元気! お守り
2話 5:53 特急だよ?駅弁食べようよ~。ちょっと食べる?…まあ~まあまあまあそう言わないで、煮卵美味しいよ?はい、あーん……おいしい?(美味しいです…)ハイ美味しい~♪♪ 元気
  5:28 小柄な男かな。カタカタ、ターン 元気
  8:03 えっえっ?今のなにさ合言葉!?かっこ悪!えっあっちょっと、え、スーパーカーはー?スーパーカーが良いんだけどー! 元気
3話 15:16 私はきみと逢えて嬉しい!嬉しい嬉しい!! 素直
  2:55 というわけで閉店、ボドゲ会スタート!! わくわく
  15:53 今は!たきなにひどいこと言ったあいつらをぶちのめしたいので、ちょっと行ってきますよ 惚れる
  17:21 何だとテメーどこ中だコラァ! ツッコミ
  22:12 でも!スカッとしたな? わくわく
4話 12:51 なぁんだよ、変? 惚れる
  7:24 ああ~銃撃戦向きのランジェリーですかぁ~?そんなもんあるかァ! ツッコミ
  14:35 チンアナゴ~~! 元気
5話 10:59 ちょいちょいちょいちょい、(確かめようと思って…)いいけど公衆の面前で乳を触るな!! ツッコミ
6話 3:45 いいねぇ…それいいねぇ!じゃんけん! 元気
  15:43 もしもしもしもし? 独特
7話 20:04 やるなあ、千束を欺くとは ツッコミ
  13:16 なんちゅうこと言うんだ貴様 ツッコミ
  13:28 やべえなこの雰囲気! わくわく
  13:43 ミッションスタート わくわく
8話 20:07 おお!イッヌ!!かわいい!! 独特
  5:54 見た?見た~?私撃ったの一発だけ!どうよ!(よく出来ました)褒められた~~ヒヒ♪いぇい! 甘えん坊
  20:22 たきな。…ありがと 甘えん坊
9話 20:57 自分でどうにもならないことで悩んでもしょうがない!受け入れて、全力!だいたいそれで良いことが起こるんだ!それに、たきなの計画は大成功してるよ?今日はめっちゃ楽しかったぜ。やるな 惚れる
  13:43 あなたでしょう?私を助けてくれる人! 元気
  18:28 よーし!千束さんがたきなの冬バージョン選んじゃるよー! 独特
  19:27 楽しいよ?たきなといればさ! 飾らない
10話 17:53 ほら先生、泣かないで。センセこそどうなのよ、この千束はどう?好き? 甘えん坊
11話 17:19 え、え、うわあ!あー!あー!!ちょいちょいちょいちょい!!!うお!うお~~!!!! わくわく
  16:53 うおー危なー!! わくわく
12話 17:12 う~~んもうちょっ…ちょいちょいちょいちょい…あ~…ッヌぅ!! 独特
  0:15 シッ…黙って…あいつは地獄耳だ クール
13話 9:10 今のままでも好きなものはたくさん。大きな街が動き出す前の静けさが好き。先生と作ったお店、コーヒーの匂い。お客さん。街の人。美味しいものとか、きれいな場所。仲間。一生懸命な友達。それが私の全部。世界がどうとか知らんわぁ。 素直
  16:25 いや撃ってくるからだろ!! ツッコミ
  20:23 え?…えー!!お前だお前ーー!!! ツッコミ
  20:59 よーし、行くぞ相棒! 元気

どれも今でも脳内再生余裕。皆の好きな台詞は入っていたかな?

カテゴリ分けしてみると改めて、この連載記事の中で取り上げてきた沢山の「尊い」の中には本当にいろいろな要素があったことが分かる。

  • 元気なふるまいがかわいい「元気
  • わくわくが抑えられない高揚感がこちらにも伝わってこちらまでワクワクする「わくわく*1
  • 全幅の信頼を寄せている相手にしか見せない「甘えん坊
  • 口が悪くなることもしばしばある、時には照れ隠しだったり重たい雰囲気にしない配慮だったりする「ツッコミ
  • 独特の言い回しなのにそれがかわいい「独特
  • お仕事モードで超かっこいい「クール
  • クールとはまた違うんだけどただただ惚れ直してしまう「惚れる
  • 見習いたい、自分のお守りにしたいような千束の哲学が表れた「お守り

どの要素も千束を魅力的たらしめていて、不可欠だと思う。最初にこの表を作ったとき、というか、各話の記事を書き始めて毎話ベストシーンを選んでいたときは、好きな台詞ベスト5!とか選びたいと思ってたけど、こうも好きな理由が幅広いと比べようがないのよね。という訳でどんなちさとも尊い!!!序列は不要!!

千束の印象が変化したターニングポイント

そんないろんな側面を見せてくれた千束、たきなほど明確な成長が描かれたわけじゃなかったのに、回を追うごとにどんどんと印象が変わっていった。その転換点をいくつかピックアップしたい。

1話6:20「おお~転属組!優秀なのね!歳は?」

このころはまた元気の良い子が主人公か、と他人事のように聴いていた。なんか聴いたことありそうでなさそうだなと思っていた。

3話15:16「私は君と逢えて嬉しい!嬉しい嬉しい!!」

この底抜けな素直さが心を鷲掴みにされる原因だったと思う。彼女に底抜けのあこがれを抱いた場面で、本作を通してのベストシーンと言っても過言ではない。3話のレビュー記事で語り尽くしたので詳細は読んでほしい。

yominabe.hateblo.jp

↑このちっちゃい文字の方からだと該当シーンへのコメントに直接飛べます。

4話5:26「銃持ってきたな貴様」

1話からちょこちょこ口の悪さは出てきてたけど、本格的に好きになってのめり込むように観るようになってから初めてのふてぶてしい台詞は印象的だった。このレベルまで好きになったキャラクターがたまに言葉粗いのはレアだったというのと、この直後に場面が切り替わったらもうかわいい千束になってるその緩急が良かった。言葉遣いの粗さは必ずしも印象を悪くするわけじゃないんだなと思った象徴的なシーンだった。

8話13:36「そいでラストシーンで!あ…」

本作最大の胸のざわつきを覚えたシーン。真島ちさとと意気投合しやがって…!!そのざわつきの根源はそれは激しい嫉妬であった。そして気づいた、あ、自分千束にガチ恋してるわ🙄

9話21:28「自分でどうにもならないことで悩んでもしょうがない!受け入れて、全力!だいたいそれで良いことが起こるんだ!それに、たきなの計画は大成功してるよ?今日はめっちゃ楽しかったぜ。やるな」

千束のあまりに重たすぎる人生にいきなり直面させられてしまった9話。思い出をたどりながら最後の大切な2人の時間を過ごすたきなを観てべしょべしょに泣いた。千束よりも残り時間の長い私が無為に時間を過ごすなんていけない、と思って24時に観終わってから半分はTLを追いつつ3時間ぐらい作業が捗った。とにかく千束が救われてほしいと願った。フィクションだから帳尻は合わせられるだろうと分かりつつ本当に胃が痛かった。冷静に受け入れているように見えて、冷静でいられないところも垣間見えて、ああ千束も完璧な人間じゃないのかもしれないと思い至った9話。

とにかく千束に助かってほしいと願っていたけど、千束が望まない方法ならただのエゴだとも感じたし、着々と人生を畳む千束を見て、何となく自分の他人との接し方もドライな面を持ち始めた気がするというか、合わない人がいるのはしょうがないと執着しなくなってきた気がする。それは9話以降の千束と、気づけば今の生活圏での残り時間がこれまで過ごしてきた時間よりずっと短くなっている自分とを重ねたからでもある。自分の人生の終焉を目前にしても、「自分でどうにもならないことで悩んでもしょうがない」と言い切れる千束に、自分の人生観が少し変えられた気がする。3話で千束に抱いた印象はそれまでに好きになったキャラクターとも共通するものだったけど、ここで抱いた印象は、自分にとっては革新的だった。

10話17:05「ありがとう先生。私に決めさせてくれて、ありがとう。それ聞いてたら多分私は負けてた。そんで仕方なくリコリスの仕事をしてたと思う。で、嫌なこととか辛いことは全部先生やヨシさんのせいにするんだ。…それは嫌だわー。うん。ないない。私の仕事も、このお店を始めたのも全部私が決めたこと。それをさせてくれた先生とヨシさんへの感謝は、今の話を聞いても全然変わんない。二人とも、私のお父さんだよ。それが一番嬉しいって感じする」

たしかにこういう素直さというか、すっと相手に答えを提示できるところが、3話で千束を好きになった理由でもあるんだけど、そこに畏怖すら感じた、というか、そこまで完璧な人間でなくていいのに、自分の人生に執着していいのに、と思った。千束はぶれていないし同じ面を見せてくれているんだけど、その見え方が状況によって違うというのはこれまでにあまり経験したことのない不思議な感覚だった。

yominabe.hateblo.jp

こんな風に千束に助かってほしいという思いをまとめたけど、結果的に千束は助かるし、だからといってたきなが千束を変えるという構図にしなかったところに、千束ならやっぱりそうしそうだなという説得力を感じて、都合よくキャラクターを曲げない本作へのリスペクトを一層深めることとなった。

13話20:23「え?…えー!!お前だお前ー!!」

やっと好きな千束が戻ってきた!!よかったー!!という気分と、ああやっぱり一人で過ごす時間が必要なように、千束も人に見せないだけで思い悩むことはあるのだなと感じさせるいい場面だった。

尊い台詞を発した相手

さてここまで千束一人にフォーカスしてきたが、他のキャラクターとの関わりについても見てみたい。これまでピックアップした台詞が、誰に向かって言った台詞が多かったか集計した。「千束」と書いているのは独り言。

ぶっっっっちぎりでたきなでした。まあたきなと一緒のシーンが長かったからだろうけど、やっぱ千束はたきなと一緒にいるときが一番輝いていたな、逆もまた然り。たきなと一緒だと連発させちゃいがち。1話の6:52-12:11で10個連続とか、4話11:27-18:41で10個連続とか、9話18:00-21:28で13個連続とか、13話16:21-20:59で16個とか。インフレが激しいな。笑 こののべ約20分で2位の千束(独り言)とほぼ同数だもんな🙈

二番目に独り言が来たのもなんかしっくり来る。3番目のミカも順当。特に10話で11シーンがセレクトされた。4話に真島…!?順位上すぎやろ!!と思ったら10個は13話、5個は8話で集中的に稼いでいた。フキサクは出番が少なすぎた。サクラなんて千束と直接喋ってたのほぼ3話だけだしなぁ。一緒にいた時間は長いはずなのにミズキとクルミは順位が沈んだのが意外。まあ群像的に場に語りかけるシーンも結構あって「リコリコ」とグループでカウントしたせいでもあるかもしれない。あと想像以上にリコリコメンバーは千束との会話よりそれ以外のメンバー同士の会話が多いのかも。

その他のキャラクターの好きな台詞

その他のキャラクターも総じて思い入れを持てるような特長があったと思う。まず印象的な台詞を冒頭に紹介したバブルグラフに書き込んでご紹介する。

次に各キャラクターに対する感想を書く。まずたきな。最初はただただDAに戻るための行動しかしない人物だったが、3話で千束の言葉に後押しされて喫茶リコリコで過ごす日々を受け入れ始める。そこから人間としての彩りをどんどんと増していく様は本当に鮮やかで、最後には当初目標としていたDAへの復帰よりも千束を救うことを何よりも優先していた。回を追う後とにEDの「花の塔」が彼女のことを歌っていることがくっきりと分かるとともに、この歌への思い入れもどんどんと深くなっていった。千束という人物を知るための窓として視聴者と伴走しつつ、千束に起こる仕打ちを指を咥えて観ているしか出来ない視聴者の思いを背負って、千束を救うためにもがく様はこれ以上なく頼もしかった。

次にクルミ。彼女は喫茶リコリコにおけるジョーカーだった。メタ的には都合のいいキャラクターだったけど、そんなことを全然感じないくらい活躍するところがちゃんとかっこよかった!「昨日敵だった相手が今日は味方かもしれない」という千束の理念が当てはまる相手が実はこんなに近くに!10話で千束に促され撤退するときは、まさか本当にそのままそれぞれの道に進まないよね…?と思ったけど、最後まで千束の言う事を聞きつつ、離陸寸前までVRを駆使して千束を助けようとしていたのは本当に良かった!個人的には音声認識で「こないだ計算したあのデータ持ってきて」とか言ってあちこちのディレクトリに散らばったデータを集めて操作してくれるUIを構築してみたい。笑

続けてミズキ。彼女のお陰で喫茶リコリコが明るかったのは間違いない。ずっと面白いから、この台詞!!っていうのをむしろ思い出しづらかったけど🙈、特に好きなのは5話でさんざん走らされて、最後ちさたきと合流するときにマジでグロッキーになってたところと、7話でbar forbiddenに潜入しようとするところと、地味に車もヘリも運転技術がめちゃめちゃ高いところ!作中で年齢が明示されているキャラクターで一番歳が近いのも親近感が湧く理由だったりじゃなかったり。。。

喫茶リコリコの最後を飾るミカ。リコリコを好きになった頃は千束が最大の尊敬の対象だったけど、飾らずに千束に恥を晒して自分の判断の是非を問うところ、最後子どもたちは知らせないまま大人だけでけじめをつけるところが、こんな大人になりたい登場人物一位になりました。そもそもミカが千束を育てたんだもんな、この親にしてこの子ありだよな。10年喫茶リコリコやってるはずなのに相変わらず「さーん、なーな…」ってレジ打ちしてたの好き😂😂

続いてフキ。3話初見では「そこまで言わなくても…」な意地悪な先輩だと思ってたけど、3話でも千束と2人のときと大勢でいるときとで振る舞いが違うという指摘を読んでから、なるほど彼女は中間管理職として真面目なだけなのかと思い至った。終盤では離脱しようとするたきなの思いを汲んで冷静に確認するところ、そして自らも自分の勘を頼って命令違反を犯すところ、たきなに千束を託すところ、彼女の中では大きな変化だったんじゃないかな。今から1話を見返すと、フキが真面目に「エリカを殺したらどうすんだ!」と怒ってるのに対してたきなが「生きてますよね?」と返してたところで爆笑してしまう。こりゃ苦労するわ。笑 9話のちびフキかわいかった、昔から良い子だったんだね😌千束と一緒にいるときの腐れ縁っぷりが大好きだからもっと観たかった~~!!

そしてサクラ。3話であれだけのヒールっぷりを見せつけてたのに、今ではこの子の髪型にしてくださいって美容院で頼んじゃったほど好きになった。なんなら3話でイキり散らしてたの見返してニヤニヤしちゃう。笑 その最大の要因はやっぱパフェ食べたいのに食べられない天丼ネタだったな。7話でデリカシーゼロでフキに「何でミカさんの前でカッコつけるんすかー」って訊いてしばかれるところと、9話のテンションどん底だったところに呑気にパフェを食べそこねてるそのオアシスっぷりに救われたからね。。。最後助かってよかった~~!フキを「せんっぱい♪」って読んでるところも好き。

さて悪役サイド。まず真島。思想はめちゃめちゃわかる~~でも人殺しちゃってるからなあ賛同しかねるなあ。総じて良い悪役だった気がする。どれだけ負傷しても死なないのはまああの服に秘密があるのかもしれないけどもはやギャグ。8話の千束セーフハウス潜入シーンは本作一のざわつきを覚えた。あとみぞおちに非殺傷弾食らったときのえずきがめちゃめちゃリアルだった。笑 

続いて吉松。最後「わかってもらえなかったよ…」感出してたけどわからせようって方法じゃなかったやろあれは。とにかくドン引きした。最初から不穏な登場の仕方してたのにそれを感じさせなかったのは演出の妙。まあ自分の身体に人工心臓を埋め込んだのも彼なりのけじめの付け方だったのかな。納得はするけど共感はしない。狂気の解像度が高すぎて、彼もまた真島と違った意味でいい悪役だった。9話終わりに真島に千束を救ってくれ―ってすがってしまったほど。

最後に

こんなに色んな面があって、同じ面でも見え方が違うこともある魅力的なキャラクターを作り出した足立慎吾監督、キャラデザのいみぎむるさん、ストーリー原案のアサウラさん、脚本の皆さん、アニメーターの皆さん、そして何より声を吹き込んで千束に命を吹き込んでくれた安済知佳さんに感謝がいっぱいです。ありがとう。

「この錦木千束が尊い!!」完結!

*1:「元気」との違いが難しいかな、かわいい!!が先に来てついニコニコしちゃうのが「元気」、かわいいより前に楽しいと感じられるのが「わくわく」かな。