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「リコリス・リコイル」サントラ使用箇所まとめ その1

はじめに

今週「リコリス・リコイル」BD第4巻が発売する。8,9話がセットになった本作のターニングポイント*1巻である。私も初めて新品のテレビアニメのブルーレイディスクを単巻で連続購入していて、毎月給料日の1週間後に引き落とし通知が来るたびにワクワクしている。

さて、本巻の完全生産限定版特典の一つはオリジナル・サウンドトラック②である。1巻に収録された①と合わせれば全54曲のサウンドトラックを聴くことができる。こんなに多いとどれがどの場面の曲だったか、全て紐づけるのは至難の業だろう。ということで全13話の各曲の使用箇所をまとめた。本稿では各曲の説明、私の独断で選んだ主要な使用シーン、レビューをしていく。記事の末尾には使用箇所を一覧表にまとめた。なお、各曲は「ディスク番号-トラック番号」とナンバリングした。使用楽器は聴いてみてこれかな?と思ったものを書いているので、間違ってるかもしれない。

全曲レビュー

1-01 リコリス・リコイルのテーマ

1話の物語の幕開けを彩る実質的な1話のオープニングテーマ。ピアノの清涼感あふれる音色が朝のさわやかさをシーンを演出し、途中からストリングスやフルート、ブラス、リズム隊*2も合流する。「おはようございます。東京では桜が満開となりました。…」というニュースの声、「今日も天気で私も元気!!」という千束の第一声がありありと浮かんでくる。その先の不穏なモノローグの不穏さを漂白してしまう効果もある。

表題の通り、本曲のサビ*3のメロディが作品を象徴するキーフレーズになっており、他の楽曲にもアレンジして用いられている。7話の終盤でミズキがBar Forbiddenにギラついた格好で単身突撃しようとするも、クルミにIDを無効化したことを言い渡されて身体全体を包んでいたどぎついオーラが失われるシーンでは、この曲のアレンジがトーンダウンしており爆笑した。

1-02 偵察

息をひそめているように静かな中、ドラムの鼓動が大きくなったり小さくなったりするのが印象的な曲。シンセ、エレキギターがかっこいい。軍隊が足並みを揃えるようなSEも加わる。曲名の通り、1話の銃取引現場の偵察場面での使用が印象的。

1-03 機銃掃射

「偵察」に続いてたきなが機銃掃射するシーンでかかる曲。「偵察」に引き続きエレキギターがタイトに締めている。ストリングスによって緊迫感が加わっている。ちなみに1枚目の曲順は概ね初登場順である。

1-04 命令違反

管の中を空気が通ったときのような効果音から始まり、ベースの重低音と最低限の音数のピアノが旋律を奏で、環境音のようなストリングスが続く。哀しげな雰囲気。3話でもDA本部に居場所はないとたきなが言い渡されたシーンで使われているのも好き。

1-05 転属

反響音のきいたアコースティックギターが静かで不穏な空気をかもしだす楽曲。クリック音のようなビートとストリングスが後に合流。たきながDA本部を追われる場面が初使用だが、私にとって印象的だったのは3話でDA本部に赴き黙々と射撃練習するたきなの元にサクラが現れ、自己紹介してそのままアイキャッチへと入る場面。アイキャッチ前半には後述する「質問」が使われてきて第3話で初めて別の曲が採用されたので、不穏さが際立っていた。

1-06 好奇心

タイトなストリングスが印象的。何となくDAでの場面で採用されることが多かった気がする。私が最も印象に残っているのはフキとサクラによる8話の次回予告。「何見てんだサクラぁ」「リコリコのSNSっすぅ!ほぉ♪らぁ♪このパフェめっちゃ美味しそうっすぅ♪」って楽しそうに会話する様がありありと浮かぶ。曲のクールさと会話の可笑しさが好対照だった。

1-07 千束

千束が喫茶リコリコに戻ってきてたきなと初対面するシーンで流れる、テンポの速いピアノとストリングスとフルートが場を牽引する曲。トライアングルやカスタネットも入って賑やか。千束の登場によって場が一気に明るくなりテンションも上がるのが効果的に伝わってくる。8話で爆弾解体ミッションを終えて「褒められた~~♪」とはしゃいでいる千束の場面でバディの順調な活躍を彩っており、終盤の急展開との対比を強調していた。

1-08 能天気

とぼけた感じの旋律のオルガンがクスっとさせる曲。だいたいミズキの声に被せられている気がする。2話で千束が駅弁の卵をたきなに食べさせるシーンで流れてたのが好き。はい美味しい~~♪♪

1-09 濡れ衣

シンセ三連符とノイジーエレキギターによってただならぬ雰囲気が醸し出されている。7話ED明けの真島がベランダの手すりにスマホを立てながらロボタと通話しているシーンなど、裏で物事が進行するときに使われていた印象。

1-10 新しい仕事

日本語学校をたきなが初めて訪れて講師の先生が「エクササイズ ワーンヌ!戸惑っています!!」と声を張り上げているのが思い出される曲。スタイリッシュなアコギのメロディの横を、ワウがかかって音程がニョロニョロと上下するエレキギターが伴走するのがクセになる楽曲。ブラスもかっこいい!

1-11 個人のためのリコリス

三連符ピアノが爽やかに駆けるのをストリングスやフルートが支え、中盤ではストリングスとドラムが盛り上げる曲。旧電波塔が見える公園での千束とたきなの会話シーンで初使用。5話での船上ツアー、6話でクルミが真島の名前を特定した場面など、明るい展開の場面での使用が印象的。

1-12 質問

「テテテテテテンテンッ」とCM入り前のアイキャッチで使われる曲。実は8話以降は呑気にCMに入れるシチュエーションではなくなったからか、ほとんど使われていない。

1-13 うきうき

阿部さんと警察署で話してお小遣い弾ませるからさ、と耳打ちされた千束がウキウキしているシーンで初登場。ピアノでのんびりとした旋律を奏でる。マラカスやトライアングルも加わる。2話で少し遅刻して千束が出勤する場面など、喫茶リコリコに穏やかな空気が流れる場面でも多用されていた気がする。水族館で千束がチンアナゴを初披露したシーンでも使われていた。かわいい。場転して大浴槽でもチンアナゴやってる。かわいい。その後たきなが非殺傷弾について質問したときに終了。

1-14 異変

急かされるようなハイテンポのシンセとストリングス。5話でサイレント・ジンをミズキが追跡する場面では次曲「おとり作戦」からこの曲に移行して追跡のスピード感が高まった。6話で真島に車で轢かれた千束が起き上がって反撃、逃げ始めるシーンでも。

1-15 おとり作戦

こちらはテンポゆっくり目で心臓の鼓動のような重低音と不安げな旋律のピアノから始まり、歪のきいたエレキギターとストリングスが更に緊迫感を駆り立てる。7話で真島が警察署を襲撃するシーンでも。

1-16 ドタバタ

木琴で静かながら落ち着かない様子が表された楽曲。7話でミカがBar Forbiddenに出かけたのを見届けて、他のリコリコメンバーがこそこそと準備をしていたシーンが印象的。

1-17 命大事に、ね!

1話で千束がスマートに射撃を回避し次々と敵を制圧していく場面で流れた曲。かっこよかった!!手数の多いドラムで始まり、キーボードとクラップとバスドラだけになり、リズム隊による抑えたパートが訪れ、すぐさまエレキギターが躍動しているパートへなだれ込んでいく緩急が好き。えっその後8話まで出て来ないの?!

1-18 無知

ミュートの付いたトランペットの音色が特徴的。ピアノがメロディを奏でる。シンジが裏で行動を取る場面で使われ、高級レストランで流れていても違和感がない感じ。車の中でウォールナットと会話し秘密裏にウォールナットの潜伏場所を爆破するシーンで初採用。8話冒頭でチェロ(?)のソロで同じ旋律が奏でられているのが8話の結末を暗示した不穏な空気を漂わせていて良かった。まあその後リコリコのシーンに切り替わり「能天気」が流れて忘れさせられちゃうんだけど。初めてリアタイした会の冒頭シーンだったので印象深い。

1-19 一件落着?

この曲を聴くと9話のデートでの健気なたきなを思い出して涙腺が刺激される。今この文を書きながらちょっと潤んできた。実は1~3話でも使われていたが、長く空いて9話で再登板。ピアノとアコギとストリングスが素晴らしい。

1-20 不穏な動き

CM明けのアイキャッチで使われる不協和音。

1-21 ハッカーロボ太

シンセサイザーでちょっと抜けているロボ太の雰囲気をよく表している。もちろんロボ太のアジトの場面で大活躍。

1-22 慌ただしい朝

前半は2話冒頭でソファで寝落ちした千束が慌てて支度する場面で使用されていたのが印象的。中盤のシンセが前面に出る箇所はオンライン対戦ゲームで効果的に使われていた。テンポの速さと穏やかさが同居していて心地いい。

1-23 浮世道中

クルミの好きな演歌。2話の車中で初登場。「人生は~冒険さ~」のコブシが力強い。

1-24 反撃開始

3話の模擬戦でのソロ千束の躍動からの、たきながその日の出来事を回想し模擬戦に加わるまでの一連を克明に描き出すめちゃめちゃクールな曲!2話の銃撃戦でも使用されていた!ストリングスとエレキがかっこいい!!

1-25 だまされた?

救急車の中でミズキがきぐるみの中から現れて千束がきつねにつままれた反応を見せていた場面。地味に4話のゲームの場面と千束がたきなのパンツを確認する場面でもドラムソロの箇所が使用されていた。

1-26 なんかいた!

8話で胃が痛くなってるところに流れた9話の予告で、「だるまさんが転んだ」をやらされているのか?というくらいゆったりした気分にさせられたのがこの曲。木琴とバイオリンの弦を指で弾くピッチカートかな?唐突にジャン! ジャン! と小休止が挟まるのが楽しい。

1-27 つかの間の休息

アコギとピアノが爽やかな一件落着ソング。2話でクルミがリコリコメンバーに仲間入りする場面と、4話で北押上駅での不穏な空気と対照的に喫茶リコリコで穏やかにボドゲ会が開かれている場面が印象的。

使用箇所一覧表

とりあえず10話までの使用箇所をまとめました。11話以降は間に合わなかった…来週のその2投稿までにはアップデートしたい…!!

「分:秒」で使用開始時間を表記した。CD収録音源をそのまま一部分採用しているものや、切り貼りして長さを調節しているものについては塗りつぶしなし。特定の楽器だけ抜き出したアレンジを黄色で示した。こうやって見てみると、収録されていないけどバージョン違いを用意していたことや、各シーンによって雰囲気に合うパートを深く考えていたことが窺える。

 

*1:しょっちゅうターニングしてる説もあるけど。笑

*2:ベースとドラム。

*3:劇伴にもこの表現をするのが適切かはわからないが、曲の中で一番盛り上がる箇所を指して述べた。