はじめに
「響け!ユーフォニアム」の定期演奏会、神奈川県民ホールで行われた夜公演に参加した。初めての定期演奏会だったので、演奏された曲に対する元々の印象を交えながら全曲レビューを交えつつ参加リポートしていきたいと思います。
当日までのあらすじ-舞い上がる高揚感
今年の1月末に「響け!ユーフォニアム」にドハマリした。総集編と「リズと青い鳥」だけ観たことがあったのだけれど、観たあとしばし考えるくらいで、BS再放送を録画しておいたまま積ん見状態だった。年末にたまたまユーフォの話題が出て、4月の新作放映開始に合わせて年始にNHKで劇場版が再放送されているのをチラ見して気になっていたところに、アマプラで配信されたのでついにちゃんと観始めた。1期の8話から面白くなり始めたと思ったのもつかの間、再生ボタンを押す手が止まらなくなり、2期の10話でベショベショに泣いた。3期は1-2話先行上映会に当たって見に行き、そこから胃が痛くなりながら12話でやはりベショベショに泣いた。
しかし放映が終わって4ヶ月経った今でもこんなに浸かったままでいることになろうとは想像していなかった。劇伴をヘビロテし始めた2月から今月までに、響け!ユーフォニアムの楽曲の再生回数は平均で50%近くに達し、3分の1を下回る月はなかった。その要因は二次創作をし始めたからなんだけど、長くなる(すでに長くなっている)ので割愛する。要するに私はユーフォオタクとしては新参者で、ようやく自分のオタクとしてのアイデンティティにユーフォを入れていいんじゃないかと思えてきた程度だけれど、定期演奏会を迎える今日まで、2024年は私にとって響け!ユーフォニアムの年だったと言えるほどに、ずっとユーフォにどっぷり浸かってきたということだ。
ライブはよく行くけど、コンサートに行くのは久々だった。知り合いが出ているから、という動機で行く以外に、自分が好きな曲を聴けることを期待してコンサートホールに向かうなんていつ以来だろうか。それどころかこんなに日常的にヘビロテしている曲を聴きに音楽イベントに行くのがいつ以来だろうという感じがする。楽しみな曲は…と考えるまでもなく、聴きたい曲が30曲くらいある。2時間のコンサートを優に超えるボリュームで、何が来ても好きな無敵状態。しかも席は7列目。最前列は最後尾が見えづらいだろうからベストポジションと言っても過言ではない。楽しみすぎて寝付くことができず、ここまでは上演前夜の夜中25時を過ぎて書き散らした。たぶん3期の曲を中心にしたセトリなんだろうなあ、でもやっぱり三日月の舞が聴きたいなあ。あのイントロのファンファーレが聴ければそれだけで来た甲斐があるというか、この1年間推してきた甲斐があるというものだ。
開場前後
物販が昼の部でパンクしていて、お目当てのものは売り切れていたことがわかったので外でフォロワーさんとゆっくりする方に方針転換。結果的にじっくり話せてよかった。サンフェスでお会いした皆さんに忘れられないように、毎週1ページを目標にTwitterに漫画を投稿しているけれど、それを見守って拡散してくださる皆さんにお礼をお伝えすることができて嬉しかった!円盤を買って購入特典をゲットするために、他の皆さんに先駆けて入場。私の席は7列目だった。超近い…!!開場中のSEの劇伴の裏で、フルートやらチューバやらパーカスやらの楽器が舞台袖からめちゃチューニングしている音が聞こえて、楽屋と客席の境目が溶け出している感じが不思議だった。たくさんの音が混じり合ったあの音は、自分が高校生の時に、放課後音楽室の前を通った時に聞いた覚えのある音だ。あの頃の吹部からこの定期演奏会まで、演者の皆さんの吹奏楽人生は繋がっているんだなあと思いを馳せていた。
上演中-各曲間奏
ブザーが鳴り背筋が伸びる。たくさんの奏者が入ってきて大和田先生が最後に入場。そこで最初の拍手のピークが訪れた。そして…チューニングベーだ!!さっきまで舞台袖から聞こえてきたミックスされたサウンドがひとつになる。これが合奏…!と実感する最初の瞬間。青いライティングに浮かび上がる大和田先生のシルエットがかっこよかった。
1. ムーンライト・セレナーデ
その並んだウィンドオーケストラではなく、我々が入場した扉から最後の奏者が。腕に抱えられたユーフォが目の前を通り、思わず目が釘付けになる。そのままムーンライト・セレナーデが吹かれて目が潤う。もともとこの曲は映画「スウィングガールズ」で馴染みのある曲だったから、あすか先輩から久美子に受け継がれた「響け!ユーフォニアム」と対になる曲としてすんなり受け入れられたんだけど、やはりこの曲の響きも黒江真由の演奏が「ユーフォっぽい」ことを伝えるに十分な優しさを湛えていることが改めて確認できた気がする。
2. ディスコ・キッド
期待通りにテンションの上がる曲をやってくれてありがとうございます!!!もうハイハットのツン、から確定演出すぎてテンション上がっちゃった!!フルートソロからバッバーンで皆合流するところが気持ち良すぎる。最初からボルテージ最高潮になったところで劇伴にも収録されていないフルバージョンなのが判明。後にフォロワーさんに「ディスコ!」と奏者の皆さんが叫んでいるところは観客も叫ぶところなのだった、と教えていただいたので、次回は是非とも一緒にシャウトしたい😊知らないところに行ったと思ったら聞き慣れたところに戻ってきて、を繰り返して最後までとっても楽しかった。そしてここで当たり前ながら重要なことに思い至った。コンサートはナマモノで、編成が違えば全体の音色も違う。ディスコ・キッドに限って言えば、尺の制約がなければこんなにたっぷりボリューミーな曲だったのだ、と。
MC1 北宇治カルテット編
3曲目が始まるのを待っていると、ぞろぞろと新たな4人組が舞台上に登場した。北宇治カルテット!!もう来た?!4人揃ったところ初めて見た!!正直この時はまだフルで聴いた楽曲がディスコ・キッドだけだったので、曲を浴びる姿勢を全力で取っていた私は次の曲を渇望していたのだけれど🙈、あとから振り返ってみるとすごくいいバランスだったと思う!
イベントでよく聞く、今日一番遠くから来た自信のある人!!という会場への問いかけに当ててもらったお兄さんが「茨城!」と自信満々で答えていたの超可笑しかった。膝から崩れ落ちるともよさん、茨城県民メンタル強いから!!という茨城出身の豊田萌絵さん。北宇治カルテットの反応も好きだったし、その後パツッと切り替えたともよさん、そしてウケを取ってツッコまれたお兄さんへフォローのありがとうを言う姿がすべて完璧で、さすがの気遣いだなあと感銘を受けた。
3. ReCoda
そしてお待ちかねの3曲目。北宇治カルテットが退場したと思ったらすかさずTRUEさんとチューバくんが登場。最初から贅沢なカード次々に切ってくるね?!?!イントロがアニメのアバンの部分から入ったのがすごくアガった記憶があるんだけど、TRUEさんが出てきた衝撃に上書きされておぼろげである。初めてのTRUEさんはすごい迫力だった。時にはワンピースの裾を掴んで力を込めて歌っていたのが印象的だった。そして手拍子とともに演奏するののリズムキープ大変そうだな、と思いを馳せた。笑
MC2 TRUE編
TRUEさんを交えたMC。力強い歌声と声優さんに溶け込むくらい可愛らしい話し声のギャップにびっくりした。脚本を一通り読んだ上で、久美子が先生になった視点で書きましょう、と打ち合わせて出来上がったという話は、どこかで聞いたか解釈していたファンの方の考察を読んだ記憶があったけど、改めてそのことを話して意識させてくれたおかげで、落ちサビ手前の「特別になりたい 上手くなりたい 痛いくらいわかるよ」が響いた。帰ってじっくり聞こう。
4. 恋
次は思わず踊りだしたくなるあの曲、という北宇治カルテットの曲紹介の時にともよさんが両手人差し指を立てて前後に移動させていたので、絶対恋じゃん!!ってなったのが面白かった🤭「恋」が流行った2016年とその翌年、久美子が3年生になった2017年はちょうど京都に住んでいた頃で、この曲を新歓曲に採用してくれたことで実世界と久美子たちのいる世界のつながりが強まった気がした😌本当に踊りたくなる楽しい時間だった😊
5. 愛の挨拶
生で観られてよかった…!としみじみ思った曲の一つ。オペラグラスでじっくり見ながら聴きました。情感を込めるためにところどころ譜面より長く拍を取るアドリブを入れていたけれど、そこでずれることもなく、互いの目を見ながら呼吸を合わせて弾いていたのがとても印象的だった。緑ちゃんと求くんもこうやって弾いていたのだろうな、と思いを馳せることができた。作中の二人の関係性とは違うけど、奏者のお二人がガシッと握手していたのが良かった😊
6. 雨夜の月
聴き始めて、しまった!自由曲の他候補曲予習してなかった!となった。クライマックスに向けてボルテージが上がる様は流石で、あれだけ一年の詩に思い入れを持ったにもかかわらず、こっちにしても全国金取れたのでは?と思わず考えてしまうほどだった。結果的にまだ殆ど聞いていない曲を現場で楽しむ体験もできたのでよかった。中盤のものすごい手の動きしてそうなオーボエのパートが好きです。
MC3 大和田先生、トリゴエ音楽P、Tp冨岡さん編
YouTubeで大和田先生のインタビューを観てからすごく親しみが湧く方だなと思って、今日の定期演奏会の楽しみの一つにしていたのだけれど、大和田先生が質問に答えるパートが一番緊張していたように見えた。途中から大和田先生の居酒屋トークを聞いているような、というか大和田先生と飲みに行きたいような気分になった。笑 でも指揮をしている時の大和田先生は基本ゆったりしていて、ところどころメリハリがあり、緊張している素振りはまったくなかった。特に難しいコンクール曲が終わったあとに「どうです?うちのウィンドオーケストラすごいでしょ?」と言わんばかりに首を少し傾けて微笑んでいたのが素敵だった。吹奏楽とアニメはつながる機会があまり多くはないけれど、この作品で奏者も演技をして、ふだんコンサートに行かないファンたちが親しみを持てるようなイベントになったのは、大和田先生が、真面目な印象の強い吹奏楽とエンターテインメントの架け橋になってくれているからなのだなと思った。
そしてトリゴエPが舞台上で奏者にディレクションしてその場で吹く企画。2月、卒部会で卒業生を送り出す2年生が吹く「愛を見つけた場所」…こないだ出した同人誌で、久美子たちを送り出す卒部会でトランペットを吹く小日向夢ちゃん描いたばっかりだった!!のでめちゃめちゃびっくりした!!ラッキー!!😂😂😂
その次の、体験入部の一年生が初めて譜面を見せられて試しに吹かされる「愛を見つけた場所」、確かに卒部会の2年生とは明らかに拙かったけど、個人的には運指が滑らかすぎて中の人の上手さが隠しきれていない気がした🤭でもエース候補の子ならあのくらい吹けるのかな🤔
7. ダッタン人の踊り
今回はほぼ完全に3期で登場した曲の演奏だったので、ダッタン人の踊りが3期で再登場したありがたみを感じた。笑 奏者の皆さんにより近い年代だな、とか、希美のフルートだ!とか、どの楽器も運指がめちゃめちゃ大変そうなくだりが出てくるな、これは確かにコンクール映えする楽曲だなとか、眼の前の演奏を聴いてみると、音源で聴くよりもいろんなことが感じられた。
8. 愛を見つけた場所
先程演じ分けをされていたTp冨岡さんの本気を聴けて、そしてEuph石倉大先生との息ぴったりの掛け合いが見られて大変良かったです。ウィンドオーケストラバージョンが音源化していないのが残念なくらい素敵なアレンジだった。終演後にフォロワーさんが「両袖に二人別れて去っていくのが胸に来る」とおっしゃっていて、言われてみれば確かに…よく見ていらっしゃる…!!と思った。
9. スケルツァンド
何曲かの前にはモノローグが入っていた*1が、全国大会の舞台に臨む前の麗奈の口上が聴けたこの2曲の前のモノローグが一番アツかった。ついにあの曲をやってしまうのか?!?!というドキドキ、そして「3番 関西代表北宇治高校」というアナウンス。この2曲に関しては、他の曲では滝先生と指揮のスタイルがぜんぜん違うように見えていた大和田先生が、滝先生に見えた気がする。そして奏者の皆さんの北宇治ファイト~!おー!!が本当に気合はいってて圧巻だった。この場に立っている音大出身(または在学中)の皆さんの多くも高校で全国大会を経験したのだろう、それを追体験できるのは幸せだろうな、そしてそれをお裾分けしてもらった我々も幸せだな、と思った。ユーフォは時々、フィクションであるキャラクターの人生がノンフィクションの側に飛び込んでくる。
スケルツァンドは劇中では一度も登場しなかったのでアルバムで初めて聴いた曲。やわらかなハーモニーを奏でる「一年の詩~吹奏楽のために」に比べて骨太で、両曲の緩急がすごい。緊張している時の心拍数がちょうどいいくらい、あっという間に進んでいく。特にクライマックスのチューバ。これを吹こうとしたらたしかにパワフルなすずめちゃんも、4人編成も必要だと思うわ。あとゆったりしたパートの終わりを知らせるかのように激しく鳴らされるトライアングル、あんなに激しく鳴らされてるとこ初めて観た。
10. 一年の詩~吹奏楽のために
スケルツァンドからの柔らかくて優しいクラリネットでもう涙腺を刺激させる。本当に観ているだけの我々ですら胃が痛かった3期の数々の出来事が曲と一緒に流れていく、そしてねぎらってくれる。聴いているうちにユーフォにハマってから3期を見届けて今に至るこれまでの自分の思い出すら振り返ってしまう。この文を書いている今ですら少しじーんときている。これはどの年の自由曲もそうだったけれど、クライマックスに向けて関西大会進出、全国大会出場、そして全国金を掴みに行くぞ!!!という迫力を感じるのが好き。最後にフルートで終わるのも優しくて好き。演奏を終えたあとの拍手はこれが万雷の拍手というやつか、と思うほどだった。
11. 音色の彼方 (Wind Ohchestra Ver.)
初聴きの「音色の彼方」ウィンドオーケストラバージョンが良すぎて、帰ってから曲をDL購入しました。ライティングもカラフルで、皆一番楽しそうだった😌コンバスがくるくる回ってたのも印象的だった☺️何より落ちサビで北宇治カルテットが独唱するところが、キーの低い楽器から順番にソロで演奏されるところがすごく良かった!!
MC4 (アンコール)
ツアーTに着替えてくるから結構時間のかかるライブのアンコールのノリに合わせて悠長に待ってたら、本編終了からアンコールが早すぎてびっくりした。笑
12. 響け!ユーフォニアム e D.C. al fine
「響け!ユーフォニアム」まだやってないじゃん!と思いつつ本編が終了したので、期待通り演奏してくれて嬉しかった。ユーフォのソロをマイクで拾ってくれたおかげで、息継ぎの音が鮮明に聞こえてきたのがすごくよかった!!
13. サウンドスケープ (Wind Ohchestra Ver.)
まさか一曲の出番しかないとは思っていなかったけど、TRUEさんが出てきて「サウンドスケープ」の声を聞いたときに、思わずおお…!と声を出してしまった!ReCodaと同じくハイテンポながらリズムキープ完璧で、さらに高音の伸びが果てしなくて生で聴けてよかった!
MC5 (最後の挨拶)
あやちゅが我々新参者の気持ちを代弁してくれたことが全てです。今回の定期演奏会はロックバンドで言えばレコ発ライブにあたるような、3期の曲を素直に順番に演奏してくれた会だったけれど、一回では演奏しきれないくらい聴きたい曲が山積みになっているのです。是非ともまた色んなセトリで演奏してください。みんなまた3月にお会いしましょう、と言ってくれていた10周年イベント、お値段とにらめっこしてたけど、今回の定期演奏会に参加したら全部見たくなってきちゃった!!どうしよう!!
14. アンサンブル
最後の最後。TRUEさんがまさか3曲目も歌ってくれるとは!!この曲が生で聴いて一番音源より好きだったかもしれない。一緒にコーラスさせてくれたのが楽しかったけど、ちょっと旋律を間違えてしまった気がする🙈
終演後
終演後は、サンフェス後に最も楽しみにしていたイベントがあっという間に終わってしまった。という呆気なさと好きな吹奏楽曲を存分に浴びることができた歓びで満たされていた。終わってから開演前にお会いしたみなさんが出てくるかしら、と思ってぼんやり待っていたら、再会することができた。ライブもイベントも、基本的に自分でチケットを2枚買ってから友達を誘って参加することばかりだったので、一人で参加して現場で落ち合った方々と間奏を語り合う楽しさがひとしおだった。終わったあとにはご飯に行けたのも、アニメきっかけで仲良くなった方と現場でアフターできて嬉しかった😌
おわりに
当日に感想を書き切ろうと思って帰りの電車で書いてたのに、長くなりすぎて半分くらいしか書けなかったので、後半おぼろげな記憶で書いてしまった。はかない。しかし一つ強く残っている感想は、3期を通しで見返したいと思ったこと。日常的にはシリーズ全部の劇伴をまんべんなく聴いていたので、3期に集中してストーリーを音楽とともに振り返るような今回のセトリは、3期の記憶を、観ていた思い出とともに呼び起こしてくれた。
吹奏楽を聴く気合で臨んだので、北宇治カルテットのみなさんがこんなにたくさん出演されると思っていなくて、時には次の曲を渇望する贅沢な時間を過ごせた。でもよく考えたらこれ、アニメのイベントだった!😂😂そりゃあキャストの皆さんのほうが見たいお客さんもたくさんいるよね!!安定感のある4人の掛け合い、皆装いも素敵だったなあ。胸のピンバッジもよく似合っていた。また参加したい、三日月の舞や宝島やSamba de Loves Youや、聴きたい曲がまだまだたくさんある!来年3月のイベントで聴けますように!!
*1:あれは事前収録なのか、舞台袖で生で演じていたのかどっちだろう…流石に事前収録かな