読み鍋屋

杓子を逃げしものや何

2024/11/10 響け!ユーフォニアム定期演奏会神奈川夜公演参加リポート

はじめに

響け!ユーフォニアム」の定期演奏会神奈川県民ホールで行われた夜公演に参加した。初めての定期演奏会だったので、演奏された曲に対する元々の印象を交えながら全曲レビューを交えつつ参加リポートしていきたいと思います。

当日までのあらすじ-舞い上がる高揚感

今年の1月末に「響け!ユーフォニアム」にドハマリした。総集編と「リズと青い鳥」だけ観たことがあったのだけれど、観たあとしばし考えるくらいで、BS再放送を録画しておいたまま積ん見状態だった。年末にたまたまユーフォの話題が出て、4月の新作放映開始に合わせて年始にNHKで劇場版が再放送されているのをチラ見して気になっていたところに、アマプラで配信されたのでついにちゃんと観始めた。1期の8話から面白くなり始めたと思ったのもつかの間、再生ボタンを押す手が止まらなくなり、2期の10話でベショベショに泣いた。3期は1-2話先行上映会に当たって見に行き、そこから胃が痛くなりながら12話でやはりベショベショに泣いた。

しかし放映が終わって4ヶ月経った今でもこんなに浸かったままでいることになろうとは想像していなかった。劇伴をヘビロテし始めた2月から今月までに、響け!ユーフォニアムの楽曲の再生回数は平均で50%近くに達し、3分の1を下回る月はなかった。その要因は二次創作をし始めたからなんだけど、長くなる(すでに長くなっている)ので割愛する。要するに私はユーフォオタクとしては新参者で、ようやく自分のオタクとしてのアイデンティティにユーフォを入れていいんじゃないかと思えてきた程度だけれど、定期演奏会を迎える今日まで、2024年は私にとって響け!ユーフォニアムの年だったと言えるほどに、ずっとユーフォにどっぷり浸かってきたということだ。

ライブはよく行くけど、コンサートに行くのは久々だった。知り合いが出ているから、という動機で行く以外に、自分が好きな曲を聴けることを期待してコンサートホールに向かうなんていつ以来だろうか。それどころかこんなに日常的にヘビロテしている曲を聴きに音楽イベントに行くのがいつ以来だろうという感じがする。楽しみな曲は…と考えるまでもなく、聴きたい曲が30曲くらいある。2時間のコンサートを優に超えるボリュームで、何が来ても好きな無敵状態。しかも席は7列目。最前列は最後尾が見えづらいだろうからベストポジションと言っても過言ではない。楽しみすぎて寝付くことができず、ここまでは上演前夜の夜中25時を過ぎて書き散らした。たぶん3期の曲を中心にしたセトリなんだろうなあ、でもやっぱり三日月の舞が聴きたいなあ。あのイントロのファンファーレが聴ければそれだけで来た甲斐があるというか、この1年間推してきた甲斐があるというものだ。

開場前後

物販が昼の部でパンクしていて、お目当てのものは売り切れていたことがわかったので外でフォロワーさんとゆっくりする方に方針転換。結果的にじっくり話せてよかった。サンフェスでお会いした皆さんに忘れられないように、毎週1ページを目標にTwitterに漫画を投稿しているけれど、それを見守って拡散してくださる皆さんにお礼をお伝えすることができて嬉しかった!円盤を買って購入特典をゲットするために、他の皆さんに先駆けて入場。私の席は7列目だった。超近い…!!開場中のSEの劇伴の裏で、フルートやらチューバやらパーカスやらの楽器が舞台袖からめちゃチューニングしている音が聞こえて、楽屋と客席の境目が溶け出している感じが不思議だった。たくさんの音が混じり合ったあの音は、自分が高校生の時に、放課後音楽室の前を通った時に聞いた覚えのある音だ。あの頃の吹部からこの定期演奏会まで、演者の皆さんの吹奏楽人生は繋がっているんだなあと思いを馳せていた。

上演中-各曲間奏

ブザーが鳴り背筋が伸びる。たくさんの奏者が入ってきて大和田先生が最後に入場。そこで最初の拍手のピークが訪れた。そして…チューニングベーだ!!さっきまで舞台袖から聞こえてきたミックスされたサウンドがひとつになる。これが合奏…!と実感する最初の瞬間。青いライティングに浮かび上がる大和田先生のシルエットがかっこよかった。

1. ムーンライト・セレナーデ

その並んだウィンドオーケストラではなく、我々が入場した扉から最後の奏者が。腕に抱えられたユーフォが目の前を通り、思わず目が釘付けになる。そのままムーンライト・セレナーデが吹かれて目が潤う。もともとこの曲は映画「スウィングガールズ」で馴染みのある曲だったから、あすか先輩から久美子に受け継がれた「響け!ユーフォニアム」と対になる曲としてすんなり受け入れられたんだけど、やはりこの曲の響きも黒江真由の演奏が「ユーフォっぽい」ことを伝えるに十分な優しさを湛えていることが改めて確認できた気がする。

2. ディスコ・キッド

期待通りにテンションの上がる曲をやってくれてありがとうございます!!!もうハイハットのツン、から確定演出すぎてテンション上がっちゃった!!フルートソロからバッバーンで皆合流するところが気持ち良すぎる。最初からボルテージ最高潮になったところで劇伴にも収録されていないフルバージョンなのが判明。後にフォロワーさんに「ディスコ!」と奏者の皆さんが叫んでいるところは観客も叫ぶところなのだった、と教えていただいたので、次回は是非とも一緒にシャウトしたい😊知らないところに行ったと思ったら聞き慣れたところに戻ってきて、を繰り返して最後までとっても楽しかった。そしてここで当たり前ながら重要なことに思い至った。コンサートはナマモノで、編成が違えば全体の音色も違う。ディスコ・キッドに限って言えば、尺の制約がなければこんなにたっぷりボリューミーな曲だったのだ、と。

MC1 北宇治カルテット

3曲目が始まるのを待っていると、ぞろぞろと新たな4人組が舞台上に登場した。北宇治カルテット!!もう来た?!4人揃ったところ初めて見た!!正直この時はまだフルで聴いた楽曲がディスコ・キッドだけだったので、曲を浴びる姿勢を全力で取っていた私は次の曲を渇望していたのだけれど🙈、あとから振り返ってみるとすごくいいバランスだったと思う!

イベントでよく聞く、今日一番遠くから来た自信のある人!!という会場への問いかけに当ててもらったお兄さんが「茨城!」と自信満々で答えていたの超可笑しかった。膝から崩れ落ちるともよさん、茨城県民メンタル強いから!!という茨城出身の豊田萌絵さん。北宇治カルテットの反応も好きだったし、その後パツッと切り替えたともよさん、そしてウケを取ってツッコまれたお兄さんへフォローのありがとうを言う姿がすべて完璧で、さすがの気遣いだなあと感銘を受けた。

3. ReCoda

そしてお待ちかねの3曲目。北宇治カルテットが退場したと思ったらすかさずTRUEさんとチューバくんが登場。最初から贅沢なカード次々に切ってくるね?!?!イントロがアニメのアバンの部分から入ったのがすごくアガった記憶があるんだけど、TRUEさんが出てきた衝撃に上書きされておぼろげである。初めてのTRUEさんはすごい迫力だった。時にはワンピースの裾を掴んで力を込めて歌っていたのが印象的だった。そして手拍子とともに演奏するののリズムキープ大変そうだな、と思いを馳せた。笑 

MC2 TRUE編

TRUEさんを交えたMC。力強い歌声と声優さんに溶け込むくらい可愛らしい話し声のギャップにびっくりした。脚本を一通り読んだ上で、久美子が先生になった視点で書きましょう、と打ち合わせて出来上がったという話は、どこかで聞いたか解釈していたファンの方の考察を読んだ記憶があったけど、改めてそのことを話して意識させてくれたおかげで、落ちサビ手前の「特別になりたい 上手くなりたい 痛いくらいわかるよ」が響いた。帰ってじっくり聞こう。

4. 恋

次は思わず踊りだしたくなるあの曲、という北宇治カルテットの曲紹介の時にともよさんが両手人差し指を立てて前後に移動させていたので、絶対恋じゃん!!ってなったのが面白かった🤭「恋」が流行った2016年とその翌年、久美子が3年生になった2017年はちょうど京都に住んでいた頃で、この曲を新歓曲に採用してくれたことで実世界と久美子たちのいる世界のつながりが強まった気がした😌本当に踊りたくなる楽しい時間だった😊

5. 愛の挨拶

生で観られてよかった…!としみじみ思った曲の一つ。オペラグラスでじっくり見ながら聴きました。情感を込めるためにところどころ譜面より長く拍を取るアドリブを入れていたけれど、そこでずれることもなく、互いの目を見ながら呼吸を合わせて弾いていたのがとても印象的だった。緑ちゃんと求くんもこうやって弾いていたのだろうな、と思いを馳せることができた。作中の二人の関係性とは違うけど、奏者のお二人がガシッと握手していたのが良かった😊

6. 雨夜の月

聴き始めて、しまった!自由曲の他候補曲予習してなかった!となった。クライマックスに向けてボルテージが上がる様は流石で、あれだけ一年の詩に思い入れを持ったにもかかわらず、こっちにしても全国金取れたのでは?と思わず考えてしまうほどだった。結果的にまだ殆ど聞いていない曲を現場で楽しむ体験もできたのでよかった。中盤のものすごい手の動きしてそうなオーボエのパートが好きです。

MC3 大和田先生、トリゴエ音楽P、Tp冨岡さん編

YouTubeで大和田先生のインタビューを観てからすごく親しみが湧く方だなと思って、今日の定期演奏会の楽しみの一つにしていたのだけれど、大和田先生が質問に答えるパートが一番緊張していたように見えた。途中から大和田先生の居酒屋トークを聞いているような、というか大和田先生と飲みに行きたいような気分になった。笑 でも指揮をしている時の大和田先生は基本ゆったりしていて、ところどころメリハリがあり、緊張している素振りはまったくなかった。特に難しいコンクール曲が終わったあとに「どうです?うちのウィンドオーケストラすごいでしょ?」と言わんばかりに首を少し傾けて微笑んでいたのが素敵だった。吹奏楽とアニメはつながる機会があまり多くはないけれど、この作品で奏者も演技をして、ふだんコンサートに行かないファンたちが親しみを持てるようなイベントになったのは、大和田先生が、真面目な印象の強い吹奏楽とエンターテインメントの架け橋になってくれているからなのだなと思った。

そしてトリゴエPが舞台上で奏者にディレクションしてその場で吹く企画。2月、卒部会で卒業生を送り出す2年生が吹く「愛を見つけた場所」…こないだ出した同人誌で、久美子たちを送り出す卒部会でトランペットを吹く小日向夢ちゃん描いたばっかりだった!!のでめちゃめちゃびっくりした!!ラッキー!!😂😂😂

これがそのコマ。

その次の、体験入部の一年生が初めて譜面を見せられて試しに吹かされる「愛を見つけた場所」、確かに卒部会の2年生とは明らかに拙かったけど、個人的には運指が滑らかすぎて中の人の上手さが隠しきれていない気がした🤭でもエース候補の子ならあのくらい吹けるのかな🤔

7. ダッタン人の踊り

今回はほぼ完全に3期で登場した曲の演奏だったので、ダッタン人の踊りが3期で再登場したありがたみを感じた。笑 奏者の皆さんにより近い年代だな、とか、希美のフルートだ!とか、どの楽器も運指がめちゃめちゃ大変そうなくだりが出てくるな、これは確かにコンクール映えする楽曲だなとか、眼の前の演奏を聴いてみると、音源で聴くよりもいろんなことが感じられた。

8. 愛を見つけた場所

先程演じ分けをされていたTp冨岡さんの本気を聴けて、そしてEuph石倉大先生との息ぴったりの掛け合いが見られて大変良かったです。ウィンドオーケストラバージョンが音源化していないのが残念なくらい素敵なアレンジだった。終演後にフォロワーさんが「両袖に二人別れて去っていくのが胸に来る」とおっしゃっていて、言われてみれば確かに…よく見ていらっしゃる…!!と思った。

9. スケルツァンド

何曲かの前にはモノローグが入っていた*1が、全国大会の舞台に臨む前の麗奈の口上が聴けたこの2曲の前のモノローグが一番アツかった。ついにあの曲をやってしまうのか?!?!というドキドキ、そして「3番 関西代表北宇治高校」というアナウンス。この2曲に関しては、他の曲では滝先生と指揮のスタイルがぜんぜん違うように見えていた大和田先生が、滝先生に見えた気がする。そして奏者の皆さんの北宇治ファイト~!おー!!が本当に気合はいってて圧巻だった。この場に立っている音大出身(または在学中)の皆さんの多くも高校で全国大会を経験したのだろう、それを追体験できるのは幸せだろうな、そしてそれをお裾分けしてもらった我々も幸せだな、と思った。ユーフォは時々、フィクションであるキャラクターの人生がノンフィクションの側に飛び込んでくる。

スケルツァンドは劇中では一度も登場しなかったのでアルバムで初めて聴いた曲。やわらかなハーモニーを奏でる「一年の詩~吹奏楽のために」に比べて骨太で、両曲の緩急がすごい。緊張している時の心拍数がちょうどいいくらい、あっという間に進んでいく。特にクライマックスのチューバ。これを吹こうとしたらたしかにパワフルなすずめちゃんも、4人編成も必要だと思うわ。あとゆったりしたパートの終わりを知らせるかのように激しく鳴らされるトライアングル、あんなに激しく鳴らされてるとこ初めて観た。

10. 一年の詩~吹奏楽のために

スケルツァンドからの柔らかくて優しいクラリネットでもう涙腺を刺激させる。本当に観ているだけの我々ですら胃が痛かった3期の数々の出来事が曲と一緒に流れていく、そしてねぎらってくれる。聴いているうちにユーフォにハマってから3期を見届けて今に至るこれまでの自分の思い出すら振り返ってしまう。この文を書いている今ですら少しじーんときている。これはどの年の自由曲もそうだったけれど、クライマックスに向けて関西大会進出、全国大会出場、そして全国金を掴みに行くぞ!!!という迫力を感じるのが好き。最後にフルートで終わるのも優しくて好き。演奏を終えたあとの拍手はこれが万雷の拍手というやつか、と思うほどだった。

11. 音色の彼方 (Wind Ohchestra Ver.)

初聴きの「音色の彼方」ウィンドオーケストラバージョンが良すぎて、帰ってから曲をDL購入しました。ライティングもカラフルで、皆一番楽しそうだった😌コンバスがくるくる回ってたのも印象的だった☺️何より落ちサビで北宇治カルテットが独唱するところが、キーの低い楽器から順番にソロで演奏されるところがすごく良かった!!

MC4 (アンコール)

ツアーTに着替えてくるから結構時間のかかるライブのアンコールのノリに合わせて悠長に待ってたら、本編終了からアンコールが早すぎてびっくりした。笑

12. 響け!ユーフォニアム e D.C. al fine

響け!ユーフォニアム」まだやってないじゃん!と思いつつ本編が終了したので、期待通り演奏してくれて嬉しかった。ユーフォのソロをマイクで拾ってくれたおかげで、息継ぎの音が鮮明に聞こえてきたのがすごくよかった!!

13. サウンドスケープ (Wind Ohchestra Ver.)

まさか一曲の出番しかないとは思っていなかったけど、TRUEさんが出てきて「サウンドスケープ」の声を聞いたときに、思わずおお…!と声を出してしまった!ReCodaと同じくハイテンポながらリズムキープ完璧で、さらに高音の伸びが果てしなくて生で聴けてよかった!

MC5 (最後の挨拶)

あやちゅが我々新参者の気持ちを代弁してくれたことが全てです。今回の定期演奏会はロックバンドで言えばレコ発ライブにあたるような、3期の曲を素直に順番に演奏してくれた会だったけれど、一回では演奏しきれないくらい聴きたい曲が山積みになっているのです。是非ともまた色んなセトリで演奏してください。みんなまた3月にお会いしましょう、と言ってくれていた10周年イベント、お値段とにらめっこしてたけど、今回の定期演奏会に参加したら全部見たくなってきちゃった!!どうしよう!!

14. アンサンブル

最後の最後。TRUEさんがまさか3曲目も歌ってくれるとは!!この曲が生で聴いて一番音源より好きだったかもしれない。一緒にコーラスさせてくれたのが楽しかったけど、ちょっと旋律を間違えてしまった気がする🙈

終演後

終演後は、サンフェス後に最も楽しみにしていたイベントがあっという間に終わってしまった。という呆気なさと好きな吹奏楽曲を存分に浴びることができた歓びで満たされていた。終わってから開演前にお会いしたみなさんが出てくるかしら、と思ってぼんやり待っていたら、再会することができた。ライブもイベントも、基本的に自分でチケットを2枚買ってから友達を誘って参加することばかりだったので、一人で参加して現場で落ち合った方々と間奏を語り合う楽しさがひとしおだった。終わったあとにはご飯に行けたのも、アニメきっかけで仲良くなった方と現場でアフターできて嬉しかった😌

おわりに

当日に感想を書き切ろうと思って帰りの電車で書いてたのに、長くなりすぎて半分くらいしか書けなかったので、後半おぼろげな記憶で書いてしまった。はかない。しかし一つ強く残っている感想は、3期を通しで見返したいと思ったこと。日常的にはシリーズ全部の劇伴をまんべんなく聴いていたので、3期に集中してストーリーを音楽とともに振り返るような今回のセトリは、3期の記憶を、観ていた思い出とともに呼び起こしてくれた。

吹奏楽を聴く気合で臨んだので、北宇治カルテットのみなさんがこんなにたくさん出演されると思っていなくて、時には次の曲を渇望する贅沢な時間を過ごせた。でもよく考えたらこれ、アニメのイベントだった!😂😂そりゃあキャストの皆さんのほうが見たいお客さんもたくさんいるよね!!安定感のある4人の掛け合い、皆装いも素敵だったなあ。胸のピンバッジもよく似合っていた。また参加したい、三日月の舞や宝島やSamba de Loves Youや、聴きたい曲がまだまだたくさんある!来年3月のイベントで聴けますように!!

*1:あれは事前収録なのか、舞台袖で生で演じていたのかどっちだろう…流石に事前収録かな

赤い公園「猛烈リトミック」のレビュー

はじめに

私の音楽聴取スタイルは保守的で、未だにサブスクをほとんど使わずに、CDを買ったりレンタルしたり、デジタル購入したりした曲をパソコンやスマホに取り込んで、再生ソフトで好きな曲を並べたプレイリストを作って聴くというものだ。すると普段どのアルバムに収録されているかとか、アルバムの中での曲の並び順とかを気にすることはない。しかし、こないだたまたまアルバムを通しで聴く機会が訪れた。出張中にパソコンのバッテリーが無くなり、スマホで音楽を聴かざるを得なくなったが、普段聴くのに使っているパソコンとは異なり、スマホに入れている曲数は少なく、アプリのプレイリストもあまり整っていない。そういうわけで私はアルバムを通しで聴くことにした。選んだのは赤い公園「猛烈リトミック」。単純に好きな曲がたくさん入っているから、またフルアルバムのほうが曲数が多いからという理由だったのだが、いざ聴いてみたらものすごいラインナップだった!ので、アルバムがリリースされて10年、私が赤い公園を聴き始めて5年半も経ったこのタイミングだがレビューしたい。

  • はじめに
  • 各曲レビュー
    • NOW ON AIR
    • 絶対的な関係
    • 108
    • いちご
    • 誰かが言ってた
    • ドライフラワー
    • TOKYO HARBOR
    • ひつじ屋さん
    • サイダー
    • 楽しい
    • 牢屋
    • お留守番
    • 風が知ってる
  • 終わりに
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あまのしんさんのくみあす同人誌レビューその2

はじめに

8月11日、初めてコミケに行った。そこから2ヶ月が経った。…2ヶ月?!?! 初めてのコミケはとにかく暑かった。10時過ぎに国際展示場駅に到着し10時半に待機列に並び始め、11時入場開始の午前入場チケットで入れたのは12時半。2時間を炎天下の駐車場で過ごした。保冷剤500g×3個、凍らせたアクエリアス500mL×2本と日傘でどうにか乗り切った。今年の夏と正面切って対決したのはこの日が唯一、辛くも勝利した。日傘を持っていない人からは汗がじりじりと伝っていて、中には夏に敗北して車椅子で運ばれたり、その場に座り込んでお連れさんに脇を冷やしてもらったりしている人もいた。

そのような過酷な環境はもともと予想されていたことだったが、そんな環境だと分かっていても私が今回コミケに一般参加しようと思ったのは、直接手にとって手に入れたい同人誌があり、直接お会いして感想をお伝えしたい作家さんがいたからである。

yominabe.hateblo.jp

5月に紹介したあまのしんさん。絵の可愛さ、展開の楽しさ、そしてあすか先輩のオトナの魅力を存分に伝えてくれる作家さんはあまのしんさんを差し置いて他にはいない。ということを上記の記事で早口のオタクになりながらお伝えしたところだが、ご本人にお会いして改めてこれだけの作品を書き続けてくれたことのお礼を言いたい、と思ったのが今回の参加の動機だった。参加してみたらユーフォ島をはじめとしてたくさんの魅力的な同人誌が集まっていて、当初の想定を遥かに上回る2万円使ってしまった。笑

あまのしんさんが今回頒布してくださった新刊は「まとめて再録本2」と「言わないロンリネス」。再録本2は描き下ろし1本を含む12本と無料配布ペーパーからなる全276ページ。…電話帳みたいな厚さ!Σ( ̄□ ̄;)(例えで歳がバレる)それで普通の同人誌4冊分くらいの価格で頒布してくださったので、破格も良いところである。贅沢だ。そしてもう1冊も思わず現地で読んでひとこと感想をお伝えしてしまったほどホクホクする作品だった。というわけで本稿では、前回の記事で取り上げなかった(=私が未読だった)記事について1作ずつレビューしていきたい。

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すみだ水族館のペンギンを見分けたい

はじめに

暑い夏が続いていますね。皆さんお元気ですか。私はすみだ水族館のペンギンに心奪われています。2024年の夏クールはすみだ水族館の夏です。

リコリコの「さかなー!」「チンアナゴー!」で有名な第4話の水族館シーン、その舞台がすみだ水族館である。昨年首都圏に引っ越してから、誰かリコリコを好きな友だちを誘って聖地巡礼したいと構想するもその時は訪れず早1年。ついに近くに住む、本ブログの共同運営者・一梨透氏がリコリコを観てハマったとの報を受けた。

yominabe.hateblo.jp

私がリコリコの4話に狂っていた様子はこちら。

そしておあつらえ向きなことにその一梨氏が東京ソラマチで行われる台湾祭に誘ってくれた(我々は6人グループで6年前に台湾旅行をしたのだった)。せっかくなので同じ東京ソラマチにあるすみだ水族館に遊びに行こうということになった。2,500円の入館料を払って聖地巡礼ポーズもして一通り遊んで目に入ったのは「差額を払えば年間パスポート発行できます!」の文字。入館2回ちょっと分のお金を払うだけで1年間いつでも入ることができるなら買うしかないと年パスを手に入れた。休日に東京に遊びに行く用事がある時、ちょっと空いた時間に訪れる場所ができた、と気楽なことを思っていたのもつかの間、転がり落ちるようにペンギン沼にハマってしまった。56匹のマゼランペンギンのコミュニティを観察するのが楽しくて仕方ない。

  • はじめに
  • 沼の入口、推しペン診断
  • 一匹ずつ餌をあげた子を見分ける飼育員さんたち
  • そして56匹判別の道へ…
  • インスタ始めました
  • 終わりに
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「響け!ユーフォニアム」にのめり込んで初めて「リズと青い鳥」のどエラさを理解した

はじめに

ユーフォ3期が最終回を迎える直前なのにこんな記事を書いていて良いのであろうか。でも最終回を迎えたあとだとその余韻で吹っ飛んでしまいそうだからあえて書き留めておきたい。

なんのことを言っているのかというと…「リズと青い鳥」である。久美子たち主人公学年のもう一つ上の先輩部員2人・傘木希美と鎧塚みぞれを主人公とした映画で、「響け!ユーフォニアム」では1・2期でシリーズ演出を務めた山田尚子が監督している。最終回直前そわそわ週間に突入した私は、2月に1期から時系列順に通しで視聴して以来4ヶ月ぶり3度目となる、劇場版「リズと青い鳥」の鑑賞をした*1

3度目の鑑賞で、これまでに自分で観て思い至らなかったところや、演出について読み漁った数々の考察記事には(わかりやすくて逆に?)言及されなかった見どころがたくさん見つかったので筆を執った。次項からしばし自分語りに入るので、手っ取り早く感想を読みたい方は「今回記す感想の趣旨」に移行されたい。

  • はじめに
  • 初見時のおぼろげな記憶
  • 2度目の少し鮮明な記憶
  • 今回の鑑賞時の私の予習状況
  • 今回記す感想の趣旨
  • 課題曲「リズと青い鳥」第三楽章の希美とみぞれの演奏の変化
    • 1度目
    • 2&3度目
    • 4度目
  • 環境音としての練習音
  • その他の感想
    • 登校して音楽室にたどり着くまでのシーン
    • キャラデザはのぞみぞ(主にみぞれ?)からみた視界説
    • 各楽章は絵本のその場面に対応するのか!
    • 鎧塚と剣崎
    • 緑輝がみぞれに話しかける場面、実はシリーズ中唯一では?
    • みぞれが最後の全体練習の後理科室に希美を追いかける場面
    • 結局これはハッピーエンドなの?
    • 山田尚子監督も青い鳥のようだね…
  • どうして3度目までに気づかなかったのか?
    • 本作の情報量がとにかく多い
    • ユーフォ本編が比較対象となった
    • 良いイヤホンで聴いた
  • 終わりに

*1:リズと青い鳥」というタイトルは、本稿で主題とする映画の他に、劇中で取り上げられる絵本と、その絵本から着想を得て作られ、劇中では主人公たちの所属する吹奏楽部のコンクール課題曲にも設定された楽曲の3つの作品につけられている。特記しない限り、本稿では映画のことを指す。

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あまのしんさんのくみあす同人誌レビュー18本

はじめに

今年1月に「響け!ユーフォニアム」にドハマリした。特に2期は涙腺がゆるゆるになり、7話「えきびるコンサート」以降の久美子とあすか先輩を取り巻くシーンに毎度涙していた。次が気になる展開続きで、あっという間にアンコン編まで観終えてしまい、Twitter*1をあさり始めたところ、あまのしんさんという同人作家さんが素敵なイラストを描いているのを発見した。

今となっては正確に思い出せないけど、たぶんこれが初めて目にしたあまのしんさんのイラストだったと思う。

あまのしんさんのメロンブックスのリンクを見てみると、人気でかつ多作であるらしい。試しに最初に3冊購入してみたところ、アニメとキャラデザが違う感じなのに本編で見覚えがあるような表情だけでなく、ご本人のスタイルが確立されたコミカルな表情がめちゃめちゃ上手で、お話も面白くて、あっという間に読み終えてしまった。ちょうど2月は私が初めての二次創作漫画を描いていたころ。思うように描けない忸怩たる思いを抱えていたから、なおさらあまのしんさんの絵柄の魅力が身にしみた。

間もなく他の作品も読んでみたい!!という欲が高まり、2月末にはその頃メロンブックスに在庫があったすべての作品を手に入れ、4月にはみやこメッセで行われた即売会「サンフェス」に向けて製作された新刊も手に入れた。14冊18作品のすべてがすばらしかったので、この記事では各刊の素晴らしいポイントを刊行順にレビューしていきたい。なおすべて全年齢作品である。

  • はじめに
  • 久美子とあすかの卒業エンドロール (2017年1月)
  • ユメみて凱旋ダンス (2018年3月)
  • くみこ9才 (2018年6月)
  • みつめてアーティスティック (2018年9月)
  • いきなりユーフォニアム (2019年9月)
  • 5秒でdo-sei (2020年5月)
  • AIと低音の調べ (2021年1月)
  • Crossing (2021年4月)
  • たのしいOOイリュージョン (2022年1月)
  • NUSW (2022年4月)
  • NUSW Vol. 2 (2022年9月)
  • Step to you (2023年1月)
  • なんでいるの!お姉ちゃん (2023年4月)
  • 異世界に召喚された私達は恋愛成就するまで帰れない (2023年8月)
  • ふたりのサマー (2023年8月)
  • 疑惑のウィンターホリデイ (2024年1月)
  • LIKE A SUPER DARLING (2024年4月)
  • らくがきパッション♪(2024年4月)
  • おわりに

*1:未だにXと呼ぶのは慣れない

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この5ヶ月間に読んだマンガのひとくちレビュー17本

はじめに

今年5月に引っ越した。前に住んでいた家は初めての一人暮らしだったので、一人で楽しめる様々な趣味を増やした。2019年に、午前十時の映画祭で往年の名作映画をたくさん観て、2020年のコロナ禍にようやくAmazon Primeを契約し、映画やアニメを色々と観るようになってからは、基本的にフィクション作品は映像で楽しんできた。しかし引っ越してからは環境が変化して疲れ気味だったり、休日にお出かけしやすい環境になって自宅を留守にする時間が長くなったりしたことで、映像作品をじっくり楽しむのが疲れると感じるようになってきた。昨年は流行りの作品を追いかけていたので、1週間新しい回を待つエネルギーを消費したというのもある。

そんな中、赤い公園繋がりのフォロワーさんと遊ぶために立川に遊ぶ機会が訪れた。立川は赤い公園のホームタウンであり、かつて市役所だった建物の前の公園に赤い公園のベンチが設置されている。そしてその建物の中には立川まんがぱーくという、公営(正確には立川市が民間に委託しているらしい)のマンガ喫茶がある。ネットカフェと違い明るく開放的で、老若男女が館内のあちこちでリラックスしてマンガを読んでいる素敵な空間だ。そこで読みたいマンガを何作品か読んでいるうちに、自分のペースでパラパラとめくることができ、消費時間に対して情報の濃度が高いマンガこそ今の自分のコンディションに合う媒体なのでは、と思い、マンガのサブスクを始めよう!と思い立った。

宅配レンタルや電子書籍読み放題、ネットカフェを色々と検討した結果、最もコスパが良かったのがTSUTAYAの店頭借り放題サービスだった。一度に5冊借りられて、返却すればその日のうちでも次の5冊を借りられる。人気作品が一通り揃っていて(電子書籍の読み放題サービスが手薄がち)、貸し出されていない限り、営業時間内なら続きをすぐに手に取ることができて(宅配だと返して借りるのに数日かかる)、家でのんびり読むことができて(時間制のネットカフェだとどうしてもせかせか読んでしまう)、本棚を見ながら気になった作品を手に取ることができて、月額1100円。私のベストアンサーはTSUTAYAだった。

そういうわけで6月中旬から5ヶ月、最初の何巻か読んでフェードアウトした作品を除けば、17もの作品を(旧作入りしている中での)最新巻または最終巻まで読破した。読み始めた日付順に、軽いあらすじ、読み始めたきっかけ、好きなところを書いていく。タイトル、作者、出版社、掲載誌*1、巻数*2の順に表記する。興味が出たらそのまま1話を読めるように、試し読みリンクを貼った(ページを遷移しなくともそのまま読めるという点で、講談社が一歩リードだね)。

物語の核心に触れる直接的なネタバレは回避しているが、作品のイメージを語る上でのネタバレは時折するので注意。

*1:途中で移籍している場合は最新の掲載誌

*2:「全○巻」と表記したものは完結済み、「既刊○巻」と表記したものは連載中

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