読み鍋屋

杓子を逃げしものや何

映画「アイの歌声を聴かせて」感想対談・後編

前回の記事に引き続き「アイの歌声を聴かせて」の感想をTOとp.w.θの2人が語ります。80分続いた対談の後半戦、前編よりちょっとだけボリューミーです…(笑)(p.w.θ)

前編はこちら↓

yominabe.hateblo.jp

名前がうろ覚えなあなたのための登場人物紹介

サトミ

本作の主人公。お母さんがシオンの開発者。告げ口姫と呼ばれている。

シオン

サトミとトウマのクラスに送り込まれた女子高校生型アンドロイド。

トウマ

電子工作部の部員。構内の監視カメラをクラッキングする腕前の持ち主。

サンダー

柔道部員。三太夫というアンドロイドと日々乱取り稽古をしている。

肉体と精神

(前回のあらすじ:θは人間がAIにしたインプットに感動していたのに対して、TOはAIが健気に頑張っている姿に心を打たれるのだった。だからこそAIのしたことによって人間同士がいい結末を迎えると「人間どもが甘い汁を吸いやがってよお」みたいな気分になる。)

θ:(笑)それはさ、たとえば10年以上使い古した財布に対する愛着とかと一緒の類なのか、

TO:そう、完全にそれ。僕は物のほうが好き。

θ:なるほどなるほど。あーそれはね、まあわかるわ。

TO:それがある意味で感情移入です。

θ:あー。今回はわりとその、ガワが切り替わりまくってたからこそ、僕はその機械の行動というほうに集中できた気がするな。つまり8年間継続してシオンの体の中で稼働していたらまた違う気分になってたかもしれないんだけど、プログラムですみたいなところがすごい前面に現れてて。

TO:うーんまあそうだったね。

θ:なんかそうやって考えるとまどマギっぽいんだよな。

TO:なにぃー?!

θ:(笑)その

TO:とりあえず最近見たものとくっつけるんだから!

θ:そうだよ(笑)ちょっと連想したんだよでも!

TO:待て待て、どこをどう…(笑)

θ:このガワはどうでも良くて魂さえ移ってたらなんでもいいみたいな感じじゃん。キュゥべえの考え方がさ。

TO:うーん…まあまあ、まあね。…えぇ?

θ:ある意味TOの、魂さえ生き続けていればガワより魂の方に愛着が湧いてくるわけじゃんきっと。今の話でそっくりそのまま持ってきたらさ。どうなんだろう、そうでもないか。むずかしいな。

TO:え?ガワと魂…

θ:肉体と…

TO:あー僕はすごいガワが好き。だから…

θ:でも今回は比較的…

TO:「アイの歌声を聴かせて」で言うのであれば、魂がああやってプログラムのほうがこのシオンに移りやがて人工衛星に移ったとしても、僕はあのたまごっちを捨てられないから。

θ:うんうんうん。なるほどね、じゃあつまり8年前のたまごっちに入ってたプログラムが今形を変えて帰ってきたところに感動しているわけだ。

TO:ん?

θ:違うか。(笑)

TO:違うなあ。

θ:(爆笑)

TO:映画の感想の話ししてる時結構この事象起こるよなー(笑)θの要約がかすりもしない(笑)

θ:(爆笑)

TO:いや頑張って解釈しようとしてくれてるのは本当にありがたいんだけど。

θ:順位をつけるとしたら…

TO:僕はたまごっちに感動しているのであって。

θ:うん。たまごっちのガワと、たまごっちの魂=乗り移ったシオンの魂と、シオンの筐体という3つがあって、たまごっちの魂に一番感動しているわけでしょう?

TO:魂っちゅうかそのーなんかそこはねーエピソード的なんだよ。たまごっちの見た目とか、エピソードだったり機械音声っぽい声とかその場でかかっている音楽とかもでかいんだけど、たまごっちが頑張ってくれたことに感動している。

θ:なるほど。

TO:こうも人間のほうが忘れてもサトミのことを考え続けてくれて、小学校に上がったサトミをとか観てるんだけど自分のほうは気づいてもらえなくって、それで反応をもらえないままに今幸せか?と聞き続ける哀愁だよね。それが、胸が痛いと思った。人間になってからは楽しそうだな、青春してんなと思うポイントは数あれど、感動的にグッと来るというポイントはあんまりなかった。

θ:そういうことね。だからテスト前までのたまごっちAIの行動に感動したわけだ。

TO:まあまあそうだな。

多くの観客はどこに感動したのか?

θ:よくわかりました。きっと大体の人はそうだと思うわ。

TO:おーそうなのか?

θ:つまりそのシオンというキャラクターが好きという人が一番多いんじゃない?

TO:ちょっと待ってくれ、だとするとなんだなんだ…うん、僕もそう思うよ。シオンというキャラクターが好きな人が一番多い。それと今言ったことって一致する?

θ:まあその多くの人がシオンのどこが好きかっていうのが、そこ今までの8年前から追っかけてくれてたっていうところであれば一致すると思うけど。そしてそうだと思う。

TO:なるほど、トウマと比べてってことね。

θ:トウマとか、サトミとか、他のキャラクターと比べてね。

TO:なるほど…うーん、そうね。いや、僕は自分ではひねくれた見方してるなという自覚はあって。

θ:あっ本当?(笑)僕のほうがよっぽどひねくれてる気がするっていうかドライな気がするっていうか。

TO:えっまじで?めちゃめちゃ素直に観てるなーと思ったよ、僕は。

θ:あっそう?(笑)

TO:たぶん、すごくこう観てほしいっていう見方をしていると思う。

θ:それはだから、製作者側もロボットをだいぶ機械として捉えているから、製作者の意図としてはかぶりそうな気がするが、多くの人はそんなに…むしろシオンをAIとして観るというよりは他の人間と同じように観ていて、で…あーそういう点では違うなあ、TOのこととは。むずかしいね。

TO:まあそんなカテゴライズしなくてもいいとは思うけど、うーん。まあいいや。

θ:うーん。そうだな。でもシオンの健気さに心打たれる人が多いんだろうなという気はする。

TO:まあ…そうかもね。胸打たれポイントで言ったらそうかもしれん。

テストのやり方が不適切なのでは?

θ:あと思ったのがねー、テストのやり方がザルすぎるやろっていうところはすごい思ったよね(笑)

TO:まーそれはザルだね。

θ:まずだってさあ、送り込むクラスに利害関係者がいちゃまずいでしょっていう(笑)

TO:うん。あの佐渡島はその、近いうちに沈没する妥当なと思ったよ。

θ:(笑)

TO:全部がザルだもん。(笑)

θ:ザルすぎるよね本当に(笑)

TO:ザルが島だから。

θ:まじでねーちょっとね…セキュリティもザルだしねあんな。天才クラッカーたるトウマを星間工業が早く雇用したほうがいいと思ったわ。てか何ならあれは別に…結局お母さんが開発したAIのテストじゃなくって、結果的にトウマが開発したAIのテストになってたわけじゃん。

TO:そうなんだよなー。なんかね、お母さん本当に…あなた大丈夫かなっていうのは最後まで思ってたよ。

θ:(爆笑)

TO:なんかすごい不安定を抱えたままこの人は終わった気がするなって。

θ:そうなんだよねーなんか。

TO:そう、なんか最終的に会社に認められたらそれでいいにしちゃう。

θ:そうなんだよねー。あんまりそこ深く考えてないんじゃなかろうか、お母さん…(笑)

TO:なんかねーあの人からは浅さを感じ…まあまあそれはいいんだけど。

θ:わかるなんか、やってることの大きさと…(笑)絶対トウマをチームに加えるべきだよあれは。…てか会長がまずトウマに会うべきだな。

TO:そうだね、あのお母さんじゃなくてトウマに会って「次はもっとうまくやれ」みたいなことを言ってほしい。

θ:そうそうそうそう!(爆笑)それ面白いな(笑)いやー…うん、真の開発者たるトウマと本当の開発者の娘たるサトミが被験者になってるのは本当にテストとしては成立していない気がする。でしかもなんかあのー支社長とかが尋問して強制停止プログラムも止まっているとはねーニヤニヤとか言ってたけどあれはあんたらのテストがザルすぎるって言うことなんやでっていう。

TO:うん(笑)うーん…。

θ:ちょっとね…面白かったなそこ、本質的じゃないけど大丈夫かって思った。あと口頭でパスワード伝えるのもやばいなこれと思ったよね。

TO:あれやべーよ!あれは本当にやばい。あれでしょ?最初の、

θ:テレビでスケジュールをこうポンってさ(笑)

TO:(笑)あれとんでもねえなと思ったけど、なんかまあ、あながち、なんかこう、まあゆくゆくはこうなってもおかしくないなという感じでもあったけど。

θ:あれなのかな、もうちょっとこう、指紋認証とかがない世界なのかなあそこは。

TO:あのさー「レディ・プレイヤー1」っていう映画があったでしょう?

θ:うん。観たことはないけど。

TO:あれのさー、世界一リアルなハッキング描写って言われる事象があるんだけど。

θ:ほうほう。

TO:あの…敵の社長のデスクの横にパスワードが書いてある。

θ:(爆笑)世界一リアルだねそれはね!(笑)おもろ。

TO:ていうのを思い出したっていうか、最終的にずさんになるよなっていう。

θ:うん。結局ヒューマンエラーだよね全部。

(トイレ中断)

TOの好きなシーン1:星間ビル躍動

(再開)

TO:いまこの映画の好きなシーンを思い返していた。ベスト3を考えたので…

θ:おお。ちょっと待って、じゃあ僕も考えるわ。…ベスト3ねえ。1, 2, …もう一個なんだろうな。うーん。…ぱっと浮かんだ3つは思いついたわ。…どうぞ。

TO:いやこれねえ…さっきその…たまごっちに感動したって言ったけど、確かにおーってなったんだけど、でも映画の一番のウォーポイントではなかったわけよ。

θ:うん。

TO:さっきのひねくれた見方をしていると思うっていうのに対して、じゃあ果たして僕は一体どこに一番グッと来ていたのかっていう話なんだけど。第1位は、ツインタワーを渡ったところなんだよね。

θ:ほう。

TO:あのさー、本当に開始数秒から出てくるじゃんあのツインタワー。星間のビル。で何回も映るじゃん。ツインタワー用意して、間に渡り廊下があるっていうデザインのビルっていうだけでもまあ、まあいいと思うんだけど、あの渡り廊下を渡らんとツインタワーの意味がないじゃん。

θ:そうだね。

TO:だからあそこよくぞ渡ってくれたと!

θ:(笑)なるほどね。あれでしょ、だから劇に銃が出てきたからには撃たれないといけないみたいなやつでしょう?

TO:なんだけど僕の理論はそれだけではなくて、そのーチェーホフの銃はねえ、なんて言ったらいいかな…まあいいや、これからチェーホフのツインタワーと呼ぶことにするよ。

θ:(笑)

TO:チェーホフじゃないわ、僕だな。

θ:TOのツインタワー!大きく出たね!(笑)

TO:TOの渡り廊下でもいいんだけど。僕は建物がめちゃめちゃ好きなの。

θ:なるほど。

TO:で、創作物において、僕が一番脳汁が出る瞬間っていうのは、なんか変な建物が出てきた時に、その変さが生かされた時が一番好きなんですよ。

θ:なるほど。

TO:だからねーあのまどマギの話をするとさ。僕がまどマギで一番好きなのは何かって言うと、あのイカレビルディングの数々なんですよ。

θ:イカレビルディング…あーその学校の校舎とかってこと?

TO:そう、学校の校舎もそうだし、まどかの家の異常な間取りとかさ。

θ:(笑)たしかにリビングがすごいことになってたな。

TO:そう、あの異常ハウスが本当に好きで。なんかもう一つとしてまともな建物がない。

θ:(笑)

TO:見滝原市は。

θ:なるほど。

TO:だけど、なんか戦う時異空間に入ってるじゃん。あの異空間のデザインもあれはあれですごい好きなんだけど、なんかねー、ああいうそのークレイジービルディングを出したらクレイジービルディングで戦ってほしくなっちゃうところがあるんだよね。

θ:なるほど。あーそれは想定外な一位だったな。でもわかる、納得はする。

TO:あれはその劇中の盛り上がりと重なって、だって僕もね、ツインタワーだということを半ば忘れてたの。で、階段を上がるっていう僕の好きなシチュエーションがあるじゃんまず。

θ:うんうんうん。

TO:で、ビルの中でバイク走るっていう好きなシチュエーションがある。

θ:(笑)

TO:その時点でおーいいねいいねとなっているのに、

θ:なるほど。

TO:よしヘリポート行くぞって言って上に上がるじゃん。思わずこの時点でいいねえ!になるわけだ。

θ:うん。

TO:高層ビルがあってヘリポートがあるんだったら一番屋上を目指すよねって話じゃん。

θ:うん。

TO:だけどそこがだめだった時に、引き換えしてもう片方の塔だってなったときにキター!!ってなったんだよね。

θ:(笑)

TO:あ、それじゃん、と思って。やんなきゃいけないやつあったじゃんって。

θ:なるほど。

TO:逆にこれ僕が観終わった後でツインタワーのもう片方の塔が登場しなかったとして、それ観終わった後に気づいたら結構な減点ポイントだったかもしれない。

θ:なるほど。

TO:減点とは行かないけどなんか、あー、え、なんで行かなかったんだろうって言ってそう。

θ:あれやっぱあれなんかな、劇中の世界の建築家は星間ビルやしHの形にしよみたいなそういう考え方だったんかな。

TO:なるほどねー、そうかもしれんね。

TOの好きなシーン2:太陽光パネル、動く

TO:第2位はあれね、太陽光パネルが横に傾くシーン。

θ:なるほど。それもやっぱり舞台装置が大きく動く瞬間だね。

TO:そのとおり。あれはねー、まずなんかあの風力発電みたいな得体のしれないものがぐるぐる回っている。

θ:うん、あれは風車らしいですよ。

TO:あー風車なんだ。

θ:ダリウス型っていうらしい。

TO:ふーん。いやあれね、なんか、普通の話をしているシーンとかでも背後ででっかいものがぐるぐる回ってるのいいなーって思ったり。

θ:エヴァ的だね。

TO:そうエヴァ的っちゃエヴァ的。…エヴァ的…そうだねーあーいいこと聞いたわ。

θ:(笑)

TO:あのエヴァの旧劇でさ、あ、旧劇観たことないんだっけ。

θ:旧劇ないねー。

TO:あーそうか。まあでもじゃあシン・エヴァの最初の方とかでもさ、あのー汚染されて赤くなった物品がぐるぐる回ってたりするじゃん空中で。

θ:はいはいはい。

TO:あの意味のわからなさ(笑)

θ:(笑)

TO:あれすごい好きなんだよなーでっかいものが回ってると好きだっていうのはある。

θ:なるほどね。

TO:まあでもそれよりかは太陽光パネルに関しては、これはそのーすごい僕がTwitterで口コミ見た人がうまい具合に言語化してくれてたんだけど。

θ:うん。

TO:太陽光パネルとかプラントみたいな、そういうその、なんか、工業とか文明とかの化身みたいな存在って結構悪しきように描かれることが多かったと思うんだけど。

θ:なるほど。

TO:あのでっかい発電所地帯と太陽光パネルみたいなものを完全に美しい光景として描いてて、月の光が太陽光パネルに映って、みたいなさあ。

θ:そうだねえ。

TO:たぶんねー…いやそうなんだよ、なんかその、すごい綺麗な背景とか光景の書き方って色々あると思うんだけど、人工物は同じ人工物でもなんかこう、なんかVR空間的な、あのー、今回の映画で言ったら、冒頭のシーンとか、たまごっちが時空をめぐるシーンみたいな感じに、ああいう幻想的な描き方もあると思うけど、どっちでもなくて、あのー、ただ無機質な物質が並んでいるという光景をきれいな背景として描くっていうやり方。かつその太陽光パネルが持つ反射性とかさ。所狭しと大量に並べるっていう性質をうまく生かして舞台にしていて、これはうまく使ったなーっていうふうに思ったんだよね。

θ:なるほど。

TO:というわけでシビレました。

θ:その観方もあんまり自分では注目してなかったから面白い。

TOの好きなシーン3:図書室の隅っこ

TO:そんで第3位が、図書室の隅っこで、

θ:図書室の隅っこで。

TO: 図書室の隅っこでお腹から筐体が出ちゃったのを直すシーン。

θ:ほう。

TO:覚えてますかねー。

θ:覚えてるよ。ちょっとこう誰か通らないか心配になってみているところでしょう。

TO:そうそう。いろんな、なんだろうなー観ながらこういう映画って当たり前のように高校生が主人公だけど、なんかもう自分はどんどん高校生と歳が離れていくなあということを思いながら観てたんだけど。

θ:うん。

TO:まあ当たり前なんだけどね。こうなんかグッと来る青春を見せられるとやっぱりうわあ、うぎゃあっていう風に、こう聖なる光を浴びた闇属性のようにやられてしまうんだけど僕は。

θ:つまり高校の象徴的な場所が描かれてたのがぐっと来たってことなの。

TO:これあったなーって思ってさあ!図書室の隅っこ。すごい好きだったなあていうまず場所の好きさと。

θ:なるほど。

TO:そのー絶妙にあの人が通らないポイントっていうところを、あそこをなんか修理場所に選ぶっていうチョイスと。

θ:なるほど。

TO:あとはそのーそれまで割と何ていうのか、お互い協力する気あんのか、なかよしとは言えない集団だしさ、流れで集まってしまった5人組みたいなのがさ、こう図らずも結託してしまった感じというか。

θ:うん。

TO:まあ一番最初に見てしまうのは校舎裏なんだけど。

θ:うん。

TO:あの校舎裏のときの、こう、やべーもんを見ちまった、一体どういうことなんだっていう困惑だけのときとも違い、そのあとのサトミの家に集まって、もう気づけば皆チームになってるみたいな感じとも違い、あのなんかお互いいつ裏切るかわかんないけど、でも皆事態のヤバさは把握していて一緒に動いているみたいな感じ。あの即席チームのドキドキ感が僕はねー、創作に求めるものズバリなのでね。

θ:なるほどなるほど。利害が一致している感じね。

TO:そうなんですよ。あれはねーああいいねいいねこういうのって思いながら見てました。

θ:なるほど。

TO:はい。という3選でございました。

θの好きなシーン3選

θ:おもしろいな、選び方が。なるほどね。僕の3選一貫性ないなー…。1個めはさっき言ってたそのあれだね、トウマが8年前の指示を出したのがきっかけで動いてたっていうのが明かされるシーンがやっぱり一番好きで。まあ散々言ってきた、人間のインプットであったっていうのが判明する、そのいままでこう、なんか伏せられてきたものが一気に視界が開けて伏線が回収される感じがすごく良かったな。

TO:うんうんうん。

θ:それで2番めは、柔道の乱取りしながらミュージカルになるシーン。

TO:あれ良かったねー。

θ:あそこの曲がねえ、素晴らしいあれ。

TO:あれ4位だな。

θ:曲がジャズでかっこいいし、しかも柔道はリズムなんだよっていうことを、こうシオンが指導するっていうのが、結構説得力があって。

TO:うんうんうん。

θ:そこもすごくね、あの社交ダンスと重ね合わせて柔道を解釈しているっていうのがすごく良かったな。なるほどねーと思って。で多分社交ダンスていうのもムーンプリンセスから来てるんでしょきっと。

TO:まあ多分そうなんだろうな。

θ:ていうのがすごい良かった。そっからつながってあのお姫様衣装で歩かされるところもすごい良かったけどね(笑)

TO:あのお姫様衣装何だったんだろうなー。もうひとつほしかったな。

θ:なんか周りが無反応なのめっちゃ面白くなかったよね(笑)

TO:あれこそなんかチェーホフのお姫様衣装だな。

θ:(爆笑)そうだね、そうだね!だから結局最初はとにかく、そのーあれじゃない?

TO:まあそういうことなんだろうとは思うよ。

θ:ムーンプリンセスのハッピーエンドを追求しようとしたがそれがハッピーとは限らないってことなんだろうね。だからだいぶ的はずれでしたってことだよね。

TO:わかるわかる。ずれてる。あの服を着たんだったらあの服を着たから起こってしまったトラブルがあると良かったなという気があるけど。

θ:なるほどね。だから多分その本質的な、シオンが考えた目的に対しては何ら効果を示さなかったが、なんか変なところでこう、柔道には役に立って、みたいなのが面白いっていうことなんだろうねきっとね。

TO:うーん、なるほどなるほどなるほど。

θ:想定してないことで成果が出ることもありますよっていうのがあそこでは見えてたんじゃないかな。まあとにかく純粋にあの音楽のシーンがすごい好きだったっていうので2位です。

TO:うんうんうん。

θ:3位は、あのーデッサンの時間にシオンがめっちゃこう、

TO:あー!

θ:プリンター的な塗り方をして、お前あれテストクリアする気あんのかよ!みたいなことをめっちゃ思ってめっちゃ面白かったあれ(笑)

TO:あれはすーごい好きだったなー友達を描けってやつでしょう?

θ:(笑)そうそうそう。

TO:あれ好きだったなー。

θ:あれ一発でバレるやんっていうめっちゃ爆笑シーンだったあれ(笑)

TO:ああたしかにあれすごい好きだったな。

θ:だから結局その割り込んだシオンのプログラムは、自分がAIってバレちゃいけないってことを理解してなかったんだろうね。

TO:まあそういうことでしょう。

θ:うん。いやー面白かったあれめっちゃ面白かった。一日目でバレるやんけこれみたいな。(笑)でそっからそのデータを改ざんして結果をよく見せていたってところまでなんか、あーこのテストのザルさが伺えるぜっていうのがね、めっちゃ面白かったね。

TO:うんうんうん。

θ:っていう3つかな、なんか統一感ないけど。…そうだね、あのAIボケネタが結構秀逸だった気がするな、そういう点で。他のところも見ると。

TO:と言うと?

θ:他何があったかなー。いやなんかやっぱ初日の脇の甘さたるやっていうところだよねなんかね。

TO:うん、…そうだね。

θ:だから2日目、3日目になるにつれてだんだんそういうところが目立たなくなって来てたよね。まあ物語上のアレかもしれないけど。

TO:まあまあ似たようなことが起こってるけど対策しているのかもしれないしね(苦笑)

θ:うーん…ああそうか。

TO:いやーそうだな。

歌うのは良い

TO:でもやっぱ歌うのはいいな、なんか。

θ:そうだね。

TO:ミュージカルっていいな。

θ:なんかあの最初にいきなり歌いだしてドン引きするところがそのー、

TO:あれは良かった!

θ:ミュージカルあんま好きじゃない人も取り込んでる感じがあってよかったよね。

TO:まあ取り込めてるかどうかは知らんけど(苦笑)

θ:まあなんか一応その同じ目線には立てるというかさ。

TO:まあというかかなりメタ的な、代表的なツッコミだなーと思ったけどあれは本当にそうだよなっていう。でそのミュージカルが好きなはずの人でもやっぱり突然歌われるとびっくりするっていう…。

θ:そうだね。

TO:まあそりゃそうだよな。あそこのサトミのドン引きの表情が良かったなー。

θ:ふふふ。

TO:まれに見るドン引き。

θ:(笑)

声優が良かった

θ:いやーあとは声が良かったなー。

TO:良かったねー。

θ:トウマの声が一番良かった。

TO:あートウマか。

θ:まあなんかシオンが土屋太鳳なのもわからなかったからすごい良いなーと思ったんだけど。みんなそうだなでも。

TO:そもそも声優を知らん…。

θ:名の知れた人が…割とでも主役3人は俳優だよ。

TO:福原遥はもうすっかり声優とかもガッツリやるようになった気がする、よく見る気がする

θ:うんうん、あーそうね。プリキュアでやってるらしいね。

TO:まじで。

θ:キュアカスタードを演じたらしいよ。4年前に。

TO:はー。あーそうだそうだ。やってるなあ声優。すごいなー。まあ未だにまいんちゃんのイメージで固定されてしまっているけど。

θ:僕そんなにまいんちゃんをね、あれしてなかったから。…まあそんな先入観なく観てた気がするな。あとちょっとびっくりしたのはサンダーの役が煉獄さんだったっていう。

TO:あー日野さん。はいはいはい。なるほどなるほど。

θ:日野さんが一番なんか、このキャストコメントの中で飛び抜けて長いコメントを書いてる。

TO:へー。そういうの嬉しいよね、ていうかキャストコメントはなんか長々書いてくれてると嬉しくなるな。

θ:うん。

キレる寸前の母さんの是非

θ:あとなんだっけなー。そうだその、最初に3個考えた時にあれしてて3つ目を割り込ましたから言いそびれた4番目はね、お母さんがどん底になって、「いま言葉を選ぶ余裕がないから」っていうそのセリフがすごい良いなって思った。

TO:マジ?…なるほど。

θ:そのー一応今自分は気づかえる状態にないですよってことを表明するだけの気遣いはあるというか。

TO:あれ結構よく聞くセリフな気がするけどな。

θ:うん。

TO:なんか…、うーんなんかね…、

θ:逆にもやもやした?

TO:今お前の顔を見たら殴らずにいれる自信がないよ、とかさ。あのーワンピースは知ってるよね。

θ:ああ。あったねそんなセリフ。

TO:でいくとあのーガープのさ。

θ:はいはいはい。

TO:「抑えておけセンゴク、このままじゃあわしはサカズキを殺しちまう」とかさ。

θ:あったね。

TO:イキってんのか?!って思ったよね。

θ:(爆笑)

TO:もうさーお前何様なんだよっていうふうに思ってしまうんだよこのなんか、このままだとどうにか怒っちゃう…キレちゃいそうだよみたいな。じゃあキレろや!っていう…

θ:いやでもそれはそのーバランスしてたら良いんじゃない?自分のさ、実力がそっから予測される行動に伴ってるんならいいんじゃない。

TO:いや、あの、本当にそれに見合うだけの実力かとか立場かとかはあんまり関係がないんだこれは。

θ:そうなの?

TO:なんかねー、…なんかなー。

θ:ギリギリの理性で発言してる感じ僕は好きだけど。

TO:なんかねー、お前が悪いんやでっていう気持ちがめちゃめちゃこもってる感じがして。でかつ対話を拒否していて、つまりなんか、自分が言われたらどう思うかっていうふうに考えちゃうわけよ。

θ:あー。

TO:僕はなんかさー、まあ相手が気に障ることをしたかもしれんが、いやその友人Aが、なんか知らんけどめちゃめちゃ怒って、てかなんかこう、酒飲んでてさ。

θ:ああ。(笑)

TO:で、まあこっちとしてもなんか理由がわからんかったらなんでって聞きたいし、こっちに落ち度があるなって思ったらそりゃあ謝りたいしさ。

θ:うん。

TO:そのーお互いに事情を説明したいじゃん。

θ:まあそれはちょっと待ってくれっていう意味なんじゃないのあれは?時間を置かせてくれってことでしょう?

TO:なんかねー。

θ:今はそれに最善のタイミングではないという表明なんだと思うんだけど。

TO:わかる、それは分かるんだが、なんかその、あなたが不機嫌になってることによってこっちだってモヤモヤしてるんだよっていう風に思うわけよ。

θ:あーなるほどね。

TO:そのこっちだってさー、なんかこう、すごい言い分があるかもしれないし。

θ:そうだねえ。

TO:抗いたい!って思ってるかもしれないし。なんかその、なんか自分だけ…なんかこの、ずるくね?!って思…

θ:ほう。でもそれで、

TO:なんか、つまりその、私はつらい思いをしました、今余裕のない気だから話しかけないでください、でもなんかお前のことは気に食わないんだけどね、お前のせいでこういう目にあってるんだけどね、だからちょっと今離れてくれるかなあ!!!みたいな、

θ:(笑)

TO:その…わがままか?!みたいな。

θ:(爆笑)

TO:まして親が子に言うかねと思って僕はちょっとなんか…。

θ:なるほど。でも逆になんか当たり散らすよりはよっぽどいいじゃんっていう意味で僕は思ったんだけど。

TO:まあそうかもしれん。それは実際そうだし、そのー、メタメタになっちゃった時に何を言うか、そのつまり、言う方の立場、お母さんの側についたら、なんかよくその言葉で抑えたねっていうのは褒めてあげたい気持ちは分かる。

θ:あーそういうことだねたぶん。どっちの視点で観てるかだねきっとね。お母さんだってさんざんさあ、ウキウキでテスト上々やでとか言ってたのにさあ、結局こう娘が仕組んだことでさあ、台無しになってはしごはずされたら相当参ると思うよあれ(笑)

TO:いや僕からしたらさあ、そんなその、なに、娘に事情を伝えるみたいなリスクヘッジも何もせずにさあ、なんか自分だけこれで成功だみたいな、この後旅行行けるぜみたいに勝手に舞い上がって、

θ:たしかにね!

TO:いい気になって、それが覆されたからと言って勝手にどん底に陥って娘に当たり散らかして、お前何やねん!自炊してるの娘やぞ!!

θ:たしかにね(笑)そうだね(爆笑)それもその通りだなー。

TO:まあ僕は大人にめちゃめちゃ厳しいので。

θ:(爆笑)おもしろ(笑)…まあたしかにそれはそうだな。

TO:いやー自分がお母さんだったら本当勘弁してくれだけど。あれはなんか、うーん…でもなあ。

θ:僕はでもそもそものテストのやり方がザルすぎたことを思い至る気がするなあ、あの事態になったら。

TO:だからそう、まずは自分が悪かったなってなるよね。

θ:なるね。

TO:そこでサトミに「お母さんが軽率だったと思うよ」とか言われたらどういう感じになったんだろうな。

θ:(爆笑)

TO:そこで、あのお母さんはそれはそうって言えない気がするんだよ。

θ:なるほどね。

TO:でもあんたが!になりそうな気がしていて。

θ:なるほどね。ある意味さあ、そういう、こう、なんか、何ていうんだろう、自己肯定感は高いっていうのかな…所がシオンに実は反映されてるかもしれないね。

TO:なるほど。なるほどな。

θ:まあアイ歌に関してはそんな感じですかね。

TO:うん。

θ:はい、じゃあ録音を終わります。