読み鍋屋

杓子を逃げしものや何

放課後ティータイムのギタリストとしての唯ちゃんをたどる その1


はじめに

今日は私の敬愛する唯ちゃんの誕生日である。唯ちゃんを知ってから初めて迎える誕生日なのでうれしい。おめでとう。

唯ちゃんとは言わずと知れた、「けいおん!」に登場するバンド放課後ティータイム(以下HTT)のリードギターとボーカルを務める平沢唯のことである。彼女は高校に入学した後、カスタネットみたいな軽い音楽をやるんだと勘違いして軽音部に入部した。そこで初めてギターを触ったにも関わらず、その絶対音感による圧倒的チューニング力、一回聴いただけでどこを弾けばいいかわかってしまう耳コピ能力、それを再現できてしまうピッキングスキルといった天性の才能によって、1年生の文化祭でもうオリジナル曲を1曲弾ききってしまう。

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私が唯ちゃんに惹かれたのは、マラソン大会の途中にも隣の家のおばあちゃんちでお茶を頂いてくつろいでしまうマイペースさと、フェスに行ってプロの演奏を見た直後に「でも私達の演奏のほうがすごいよね!」と言えちゃう、無敵感と形容できるほどの自己肯定感の高さと、ふだんお世話になっているおばあちゃんを喜ばせたいと、試験期間と被ってしまうけど演芸大会での出し物を引き受けて猛特訓する優しさと、普段そんなふうに皆に愛されるキャラなのにギターも歌もかっこいいというギャップを全て持ち合わせているからだ。あかん涙出てきた。

私は今年1月にけいおん!を初めて観て唯ちゃんと出逢い、唯ちゃんみたいな人になりたい!と思い始めて、それがやがて唯ちゃんみたいにギターを弾きたい!!という方向にもなっていき、翌月に新品のアンプを購入し本体は父のお下がりを譲ってもらい、ギターを始めた。まあこれまでも浮雲東京事変)や津野米咲赤い公園)など、「この演奏かっこいいなー!」と思う敬愛すべきギタリストに度々遭遇してきたが、彼らはレベルが高すぎて自分も彼らの演奏を再現してみようなんて思い至らなかった。その点唯ちゃんのギターはいい。確かに先述した天才ぶりを遺憾なく発揮しているが、曲を一つ一つ見ていくと、この部分は真似できるしかっこいいなというところも、うわあこれは難しいな、ここまでできるようになるまでたくさん練習したのかな、それともさわちゃんの教え方が上手だったのかな*1とか思うところも含まれていて、手が届きそうだけど難しいみたいな絶妙なラインを攻めてくれている。それにメタ的なことを言えば、けいおん!が商業的に成功したために、たくさんのコピー動画をYoutubeで視聴できたり、演奏者監修のバンドスコアがほぼ全曲揃っていたりと、私みたいに聴いただけではどうすればいいか分からず途方に暮れてしまう初心者にとても親切なのである。

そこで、放課後ティータイムの楽曲を、唯ちゃんのギターにフォーカスして、劇中で作られたと思しき順番に追っていくことで、唯ちゃんのギターの*2スキルアップの歴史をたどる。とはいっても私にはまだ唯ちゃんとあずにゃんのギターを聴き分ける能力がないので*3、そして実際に練習してみて、ここはこういう理由でマスターしやすかったとか、こういう解釈をしたらすんなり理解できたとか、ここのプレイはすごすぎてこういうごまかし方をしているとか、こんな超絶技巧で来たらかっこいいな~現時点ではお手上げだぁとか、練習しながら感じたあれこれをご紹介する。各曲の弾き方について、初心者の方には少し参考にしてもらえたら嬉しいし、上級者の方にはこう弾けばやりやすいよというアドバイスをいただければ嬉しい。なお、本稿では「5弦2フレット」などの押さえる位置を5-2fと略記する。リスナーとしての曲の好きなところも、かつて別稿にまとめたものを再構成して述べる。

#1 ふわふわ時間

1.1. 楽曲レビュー

HTTの最大の強みは唯と澪という対照的なボーカルにある。唯ちゃんは可愛い歌声なのにたまにめちゃめちゃかっこいい。澪ちゃんはEDが全部かっこいいのに、本人が作詞したラブソングを歌わせるとストレートにかわいい。そのギャップを両方楽しめるのが、劇中で最初に作られたこのふわふわ時間(タイム)だ。ちなみに上に貼ったspotifyのリンクは、私がもっとも頻繁に聴いているStudio mixである。

Single ver.では澪ちゃんが、Studio mixと1期12話mix(2年生の文化祭の再現)では唯ちゃんがリードボーカルを務め、映画mixとcassette mixでは主に1番を唯ちゃんが、主に2番を澪ちゃんが歌う。てか5種類もmixがあってすごい。

唯ちゃんの歌はStudio mixが一番かっこいい。1番Aメロの「どきどき」とか。2番終わりのめちゃめちゃかっこいいソロギターが、ギター演奏への興味を与えてくれた。どうやってこの音出してるんだろうと調べたらオクターブ奏法と言うらしい。拙者オクターブ奏法大好き侍と申す。それに続くラップの「てかだーんどり」の歌い方のグルーブ感もやばい。この「てかだーん」にかぶせてドラムをドドターンと叩きたい。ラップパートはいつも共感しすぎて泣きそうになる。Single ver.はボーカルだけでなくギターも異なっていて楽しめる。

澪ちゃんの歌はシングルから映画までの2年半でのボーカル力の向上が目覚ましい。映画Mixの2番入りがかっこいい。唯ちゃん曲から離れようと思ったときに澪ちゃん曲やアニメが待ってるのがHTT沼から抜け出せない最大の要因だ。2期3話で、後ろで寂しいりっちゃんのためにこの曲のイントロに合わせて振り向こう!という唯ちゃんの提案を皆がやるのがシュールで可愛くて好き。cassette mixではステレオの左/右が唯/梓に対応するらしい。cassette mixはメンバーの声や足音が入ってて、彼らの生きているさまが伝わってうるうるする。

ところで、ラップパートはSingle ver.では澪ちゃんが、Studio mix、12話mix、cassette mixでは唯ちゃんが歌っている。しかもcassette mixでは直前のアルペジオまで澪ちゃんが歌っているにもかかわらずわざわざ交代している。このことから、以下のような仮説を思いついた。澪ちゃんは少なくとも1回はラップパートを歌ったことがある(音源が残っているため)。あまりに恥ずかしくなったせいで「もうラップなんて歌えない…」みたいなことを言って、両方がリードボーカルをするときにもラップパートは唯ちゃんが歌うように、2人の間で合意形成がされていたんじゃないか。もう一つ考えられる(両立しうる)のは、唯ちゃんが「やっぱりアルペジオ弾きながら歌うの難しいよー」みたいなことを言ってアルペジオの方のボーカルを譲った説。これは単に自分で弾いてみて難しかったことに着想を得ているが、唯ちゃんならあっさりできちゃうかも。まあラップに関しては「あーもういいや、寝ちゃお寝ちゃお寝ちゃおー」の部分が、考えが煮詰まりすぎて自暴自棄になるStudio Mixも、考えるのに飽きてどうでもいいや、みたいなつぶやき方をするcassette mixも好き。このどっちを聴きたいかの気分が聴くバージョンを決める最大の要因になっている。

改めて初めて歌詞をお披露目するシーンを観ると、皆のリアクションが面白い。ムギちゃんがさわちゃんにドキドキしているところに着想を得て澪ちゃんは歌詞を書き上げたそうだ。唯ちゃんべた褒め、むぎちゃんうっとり。どんとこい。そしてりっちゃん初のさわちゃん呼び。さわちゃんはチヤホヤされたい下心で歌詞を褒める(笑)

1.2. 演奏レビュー

楽曲レビューだけで長くなっちゃいました。テヘペロ。ようやく演奏レビュー。色んな要素が含まれていて勉強になる!公式にバンドスコアが発行されているのは#12MixとStudio Mix。比較的あずにゃんが弾く高音のサイドギターが目立つ一方で、唯ちゃんのリードギターは弾き方を様々に変えながらコードを弾いていく。

イントロのE→A→Bはパワーコードでも問題なく聴こえるけど、A→Bのジャカジャンジャカジャンはジャカで5、6弦、ジャンで2-4弦と弾くと原曲により近づくらしい。会心の演奏ができたことない。続いてAメロはブリッジミュートが練習できる。文字に起こすとジャードドドドジャージャードドドド…みたいな感じ。ジャーでコードを引いてドで最低音の弦のみ弾く。最低音の弦の時に右手の付け根を弦の上に置くことで残響音をカットできる。Bメロは2回の分数コードが登場して、ここまでの3曲になかったコードの押さえ方を練習する必要がある。一発目の分数コードはちょっと身構えているので無事弾けて、ちょっと安心した二発目は忘れるというのをやりがち。

サビは弦をフルに使ったコード進行になっているそうだ。ちゃんと鳴らせたらハーモニーが美しくなりそうだがテンポも速いのでちょっと頑張る必要がある。

と言う感じで、1コーラスというか2番まで弾ききるのはブリッジミュートと分数コードくらいができれば後はパワーコードでもなんとかなる。大サビ前がこの曲最大の見せ場だ。2本の弦をチョーキングするのが難しい。同じ弦を違う指で連続して抑えるやつも難しい(とは言っても練習帳で最初の方のページに乗っているので初歩的な技術なんだと思う。コツコツが苦手ですいません…)。でそのあとのアルペジオを弾きながら歌うのが地味に難しい。アルペジオを弾くには少々速いテンポなのでゆっくりのペースでコツコツ練習するが吉。とは言っても私は結局今に至るまでアルペジオを通しで成功させられてない…。精進します。ここまでくれば後はまあ今までと一緒。

書き始めて思ったけど、音を文字で表現するの超難しい(笑)

1.3. 唯ちゃんレビュー

せっかく最初なのでそこまでの唯ちゃんのギター成長の様子を追う。2話でギターを手に入れる。3話で澪ちゃんにコードの載っている本を貸してもらう。挨拶にコードの手を構えて中間テスト直前にも夢中で練習し、コードを完璧に覚えるも追試勉強で全部忘れる。この時に澪ちゃんが出題したコード進行はC→Am7→Bm7→C7。Xコードなる新たなコードを開発するほどの迷走ぶりだが(笑)、チャルメラは弾ける。4話、合宿。はしゃぎすぎてギターが重たくて練習できないと言う唯ちゃん。野外の花火の前でギターを弾きながら躍動する唯ちゃん。アンプに繋いでないからおそらく音は花火の音にかき消されてほとんど聞こえていないけど、この時点で演奏姿がめちゃめちゃ様になっている。と思いきやカセットで一度聞いただけのDEATH DEVILのソロギターを完璧に弾いてしまう。チョーキングを初めて知る。5話、難なくコードが弾けるようになり指の皮がむける唯ちゃん。まだ柔らかいとさわちゃんに指摘される。ようやくふわふわ時間の演奏シーンが初お披露目。さわちゃんにインストを聞かせる。リズムぜんぜん合ってない。ボーカルを誰が決めるか会議で歌いたいアピールを抑えきれない唯ちゃん、しかしいざ歌ってみるとギターの手が止まり、ギターを演奏すると歌が止まる。この時のギターは少し遅れ気味だがブリッジミュートはちゃんとできている。そしてさわちゃんの特訓を経て見違えるように上達するが、練習しすぎて声が枯れる。そのまま文化祭で演奏。いつもと違う赤いヘアピン。演奏完璧。あずにゃん加入前なので、低音がよく聞こえる。

その後演奏した描写があるのは1期6話(1年生文化祭。声ガラガラ)、1期8話(2年生新歓・1曲目)、1期11話(練習)、*1期12話(2年生文化祭)、1期14話(ライブハウス)、2期1話(3年生新歓・4曲目)、2期残暑見舞い回(あずにゃんが夢でスイカを差し入れるくだり。スイカで喜んでちょっと高めに転調したと思ったら、食べ合わせのせいで気分が悪くなって低めに転調するというあずにゃんの想像が面白い)、2期20話(3年生文化祭)、映画(ロンドン野外音楽祭)、*2期23話(3年生卒業前登校日)と、本作でダントツの登場回数を誇る。その他に音源化したのは*Single、*Studio mix(劇中収録時期不明だが、Singleはギター1人、Studioは2人なので、それぞれあずにゃん加入前後だと推定される)。

私の妄想では、もちろんあずにゃんが加入してサイドギターが加わっている変化は生じているものの、そもそもリードギターのパートも、最初から少しずつ技術を体得して何年かかけて完成させたのではないかと思う。たとえば、最初に披露した文化祭の時には1コーラスか2コーラスまでで終わらせたとか*4。というのも、最初からチョーキングあり、歌付きアルペジオあり、伴奏付きラップありで弾きこなすのは至難の業だからだ。あずにゃんが加入した後の合宿で「ふでペン~ボールペン~」のギターイントロのチョーキングを練習しているが、ここはそんなに難しくないのに2年生夏時点で苦戦しているから、チョーキングは1年生時点でそんなにマスターしてないんじゃないかという邪推である。まあギター始めたての頃、一旦覚えた中間試験のコードが追試後に完全に抜けてしまっていたのと同じように、チョーキングもいったん詰め込んでマスターしたものの抜けてしまったという可能性もまあまあある。

おわりに

えっ1曲で終わり?!と思った皆様ごめんなさい。どうしても唯ちゃんの誕生日を祝うのに間に合わせたいと思って書き進めたけど、ふわふわ時間に思い入れがありすぎて長くなってしまった結果、時間切れになってしまったんや…。でもたぶん毎曲この労力を割いてると途中で諦めてしまう気がするので、次回以降もう少しサクサク進めていくと思います。目指せ月1。乞うご期待。

最後に改めて、唯ちゃんおめでとう。こないだ唯ちゃんの真似してヘアピンを2本つけて豊郷小学校に行ったら、ヘアピンつけると前髪じゃまにならない!!って気づいたよ(そりゃそういう目的の道具だからな(笑))!ギターを始めるパッションをくれてありがとう。これからもよろしくね。

 

21/11/18提出 21/11/27公開

*1:唯ちゃんがこれだけギタリストのポテンシャルを発揮できたのは、澪ちゃん、さわちゃん、あずにゃんといった指導者に恵まれていたからであることを疑う余地はない。どんなことでも良き指導者に恵まれることが上達の近道なのである。ということを一人で髪型を整えては色んな人にあれこれ言われた(主に駄目だしされる)ときに実感していたのであった。そこまで言うのなら師匠になってクオリティに責任を負ってくれないか。

*2:

ボーカルのスキルに関しては先人が素晴らしい記事を残しているので参照されたい。

 

sasahira.hatenadiary.org

 

*3:ワウとかエフェクターを使いこなしてるのはあずにゃんなんじゃないかとは思う。

*4:映像化されているのが1コーラスだけだという事実はあるが、2番以降を弾いているシーンはそれ以降にも登場していないので、映像化されているかどうかはあまり判断材料にならなさそうだ。