はじめに
本ブログを普段ご覧くださっている方には周知の事実だが、私は8月からテレビアニメ「リコリス・リコイル」に熱中している。リコリコを好きになった理由は何と言っても主人公・錦木千束(にしきぎ ちさと)の声とパーソナリティである。声の魅力はこれまで「この錦木千束が尊い!!」という連載記事で述べてきたとおりである。彼女の元気でグルーブ感あふれる言葉の数々は、聴く者を元気にする魅力を持っている。
しかし、声の魅力をここまで存分に味わえているのは、前提として彼女のパーソナリティに魅力があるからだ。その懐の大きさはまず彼女のバディである井ノ上たきなとの関わりで視聴者に伝えられ、私は千束が好きになった。
やがて、その懐の大きさの裏に隠れていた影が見え隠れし、千束もまた大きな理不尽を受ける人物であることが判明し始める。不幸せな現実を受け入れて、それでも最大限今を楽しみ、周りを笑顔にしようとし続ける彼女には、他人への優しさだけでなく、自分の理不尽は甘んじて受け入れる自己犠牲の精神も伴っていた。そのことに直面しなければならない瞬間が訪れるとは薄々感じていたが、それは10話のミカを赦す千束のシーンとともに訪れた。
そうした経緯から、本稿では、1話から10話に至るまでの千束の人生をかいつまんで振り返り、特に10話で彼女の言動について考えたことを整理して、他の作品や文章から感じたこととの繋がりを考えながら、11話で千束を助けに駆けつけたたきなと千束との間に起こって欲しい未来への期待を述べる。
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