読み鍋屋

杓子を逃げしものや何

この錦木千束が尊い!! #8.9

はじめに

リコリス・リコイル」主人公の錦木千束の声が素敵なシーンを総ざらいする連載記事「この錦木千束が尊い!!」の9本目。本稿では9話をおさらい…するつもりだったけど、ちょっと前置きが長くなったので、本稿は「#8.9」として、いつものようなレビューを書くまでの前日譚に集中し、メインコンテンツは次回更新する記事に預けたいと思う。与太話に付き合って頂ければ幸いである。すっとばしていつものレビューを読みたい方はこちらにどうぞ。

yominabe.hateblo.jp

8話放映前には5話の記事を書いていたけど、10話放映前の今日、9話を書いている。共同で執筆して他の運営者がチェックしている本ブログの性質上、そして私の執筆スタイルから毎日記事を書ける訳ではないため、特別な意味合いを持つ日付でない限り、なるべく前の記事から2日空けるようにしているのもあり、皆さんの目に届くのは今からさらに4~5日後になる。このペースで行けば11話には放映から半週くらいで皆さんにお届けできるようになるだろう。最終回に追いつく目標が達成できそうで良かった。

さて、9話の内容に触れる前に、まだ視聴が追いついていない方は是非とも先に本編を見て欲しい。

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アマプラ、ネトフリ、U-NEXTなど、定額サブスクに契約してないから観られないよ!という人は毎週日曜にABEMA TVで一挙放映をやっているので是非!!

animeanime.jp

また本連載の1~8話のレビュー記事を読みたい方は本ページタイトル下の「リコリコ」カテゴリをクリックしていただくと、投稿日時が古い順から全話網羅されているので是非。1話から読みたい方はこちら。

yominabe.hateblo.jp

与太話

さて、ネタバレを気にする人は先程のいくつかのリンクに逸れてくれたと思うので(まだ逸れてない方は今のうち)9話の話に戻る。…と、本稿を書き始めた頃には予防線を張っていたが、この記事だけ「#8.9」とナンバリングしてたら否応にも9話が重要な位置づけだと分かっちゃうな。まあしかたないか。

実は8話のレビューを書きあげたのは4日前だったので、9話のレビューも書こうと思えば3日前に書くことが出来ていた。でも書くことが出来なかったのは、リアタイから4日でいつものテンションでこの記事を書くことがはばかられたからだ。それだけ9話というのは重要な回だった。というわけで、本稿に入る前に、「9話放映前に私がした心の準備」の話と、「9話を観て感情を整理してちさとの声が好きなシーンにフォーカスするための心の準備」の話をしたい。

9話放映前の心の準備

まず8話が放映される前から既に「9話はやばい」「同意」「9話が一番好き」「神回」といったコメントがスタッフやキャストから発信されていた。

www.youtube.com

発端は「リコリコラジオ」第7回。

それを受けたアイキャッチイラストを担当する浮き足さんのツイート。

リコリコラジオで言い出した安済さんは追い打ちをかけるようにハードルを上げていた。笑

口を揃えてこんなに自らハードルを上げるようなコメントが出るなんて、よほど9話が重要な回であるか、制作陣が愚かなのかの2択しかない。しかしそれまで7回の視聴を経た我々視聴者の制作陣への信頼は厚い。なんせキャラクターを都合よく動かさない人たちである。もちろん作品の人気が出ることを狙った宣伝や設定の仕込みはたくさんなされているが、視聴者へのサービスとして、キャラクターが人格と異なる行動を取ることはない(それまでの行動原理から逸脱していた行動を取っていても、その理由が納得できる)。そのように作品を大切にしている彼らが異口同音に軽々しく自信を表明するわけがないのだ。

そしてまず迎えた8話。こっちはこっちで「バランスが取れてる回」と言われてた気がするけど、序盤・中盤和やか、終盤ほっこり、と思いきや重大事件発生!!というめっちゃ砂糖入れたあとにめっちゃ七味入れたみたいな回だった。バランスとは言わない。笑 まあそんなこんなで8話の最後の1分で既に涙目になっていたわけである。気が気でなく過ごした1週間。当日は3時間かけて7話のレビューを書き上げ、45分前から復習のために8話を観る。緊張でどん兵衛すらも喉を通らない。8話を観終えて残り15分。7話のミカさんよろしく「覚悟はできてる」と9話のリアタイに臨んだ。

まあ結果は火を見るより明らか。観終わる頃には「覚悟なんか…あるわけないだろ」とへたり込むミカくらい憔悴して、残された時間を全力で楽しむちさとのように、自分も無為な時間をなるべく減らして意味のある時間を過ごさなければならない!というモチベーションに駆られ、その後深夜4時前まで、感想ツイートをたどりつつ本業の作業を進めることが出来た。リコラジにメッセージを送り、眠りについた。

やっぱり事前に制作陣が設定したハードルをあっさり超えてきた。放映後もスタッフやキャストからの9話への思い入れが伝わるコメントが次々と発せられた。

サクラ役の小市さんは悲しいときにもクスッとさせてくれた。

アイキャッチにも特別な思い入れがあったそうだ。

9話放映後に公開された監督インタビューを読んで、先程言及したキャラクターを大切にする制作陣への信頼感を再度確認できた。

febri.jp

記事を書く心の準備

目が覚めた翌朝の日曜日も半ば放心状態で一日を過ごした。ランチを食べながらお店で遭遇したそのお店の常連仲間の方と話したものの、ちさとに心を奪われたまま。とはいえ観ていない人にいきなりネタバレを話したくもないから、とりあえず観ることをおすすめするしか出来ない。

帰ってからは4話のチンアナゴの絵を描いて過ごした。そして心の準備を整えてもう一度9話を観る。状況が整理できたせいなのか初めて観たときほど泣けなかった。それは「きっと助かってくれる」というメタ的な考えが巡って正常性バイアスがかかったり、上記のお絵描きをして心を鎮めたりしたからだと思う。どこか事態を冷静に受け止める自分がいる。

…というと、フィクションに何をそんなに心を左右されているのだ、と思われるかもしれないけれど、私にとってちさとが実在するかどうかは本質的な問題ではない。2次元でも3次元でも、魅力に心動かされて、憧れの存在となり、自分の人生の活力を生み出してくれる存在はかけがえのない存在なのだ。たぶん違いがあるとすれば、自分がその相手にも影響を与えることができるかどうかという双方向性の有無だと思う。そういう点で3次元の推しでも、ほとんどが画面やスピーカーを通じた関わりで、直接一緒に飲んだり遊んだりできないのであれば、それはどちらかといえばフィクションの中で生きる2次元の推しに近い。とにかくちさとには元気でいてほしいし、それが危ぶまれるとなると、自分にとって同じくらい大切な実在人物と同じくらいの傷を抱えることになる。

さて、2回目の視聴のときにはもう自分の想像よりも感受性が減退していた。依然涙は流さずにはいられないけれど、でも同時に頭の中で理性を保つ自分もいる。きっとこれまでの2年半で、数々の失恋を重ねたり、大切な人を喪ったりした経験を経て、自分が深手を負ってから回復する、あるいは未然に回避する方法が上手になってきたのだと思う。きっとそれが大人になるということなんだろうけれど、傷つかないための感受性だけを絞る事はできなくて、同時に素直に喜ぶ感受性も絞ってしまった気がする。寂しいことだ。やっぱりどうしようもない理不尽なことに悲しむ感受性は絞りつつも、楽しいことを楽しむちさとは偉大だ。でもそんな塩梅を身につける必要もなく幸せであってほしかった気もする。

そんな感受性を取り戻すべく、私は次に3日かけて、ちさととたきなが出逢ってからたきなに変化が現れ始めるまでの1話から4話を見返した。リコリコと出逢って1ヶ月しか経っていないのに、この頃はまだ、観ていて手放しで楽しめてちさとを愛でられる世界が広がっていたな…遠い過去を振り返るような気分になった。また9話がたまらなく観たくなって、先程9話を見返した。やっぱり2回目に観たのと同じくらいのテンションで見届けた。初見時のように、目の前で起こっていることにただただ顔を歪ませながら泣くことはなくなって、頭では冷静に見届けてしまったけど、やっぱりたきなの思い悩む姿に心締め付けられ、懸命にもがく姿に感動を覚えて、鼻をすすり涙をこぼしながら観終えた。

そんな経過を経てようやく、いつもの連載記事のように理性を保ちつつちさとの声に集中して本編を観るコンディションが整ったように思う。ここまででも結構なボリュームになってしまったから、今日はここまで。本稿のメインコンテンツである、ちさとの声が素敵なシーン総ざらいは、記事を改めて行うこととする。

9話のあとに1話から4話を見返して見え方が変わったシーン

9話のレビューを後回しにしておきながらなんだけど、9話まで観た後に1話から4話を見返して見方が変わったシーン、この台詞はそういう意味だったのか…!と気付かされるシーンがたくさんあったので、かいつまんで紹介したい。

1話

1話レビューを書いて以来3週間ぶりに見返した。レビュー書いた時好きだと思ったシーンは、その後キャラクターの人となりが分かってきてもやっぱり好きなシーンのままだし、新たな気付きもあるし、記憶より千束の顔が良かった。笑 ていうか全体的に作画に気合入ってる!!

4:01 楠木司令「得られるものもあるだろう」

左遷をたきなに言い渡した楠木司令がちさとを評して言った台詞。得られるものどころじゃなく、たきなの人生を変える、あまりに大きな存在だった、とうるうるしてしまうシーンに変貌した(序盤過ぎる!!)。

5:17 ミカ「それは千束ではない」

ミカがミズキを邪険に「それ」呼ばわりするの、今から振り返るとレアなシーンだな。笑

9:10 楠木司令「組織を守るためだそうだ」

基本的に彼女は管理職としての言動しか見えない官僚的な人物だが、このシーンは楠木指令よりも上層の人間たちの言動を彼女がどう受け止めるかが垣間見える貴重なシーン。彼女も本意じゃないんであろうことが窺える。管理職としてみれば、私情を挟まないよく出来た人物だ。この先彼女の内心がリコリスたちの前で表出するシーンは現れるのだろうか。

20:31 シンジ「千束…か」

モニターを触るシンジの手付きに愛情載っちゃってるよ…!!

22:09 千束「おお~かーわーいーいー!!」

キャラデザのいみぎむるさんいわく、たきなのツインテールはちさとがセットしているそうなので、ここでたきなが姿を表す前に、たきなの髪型をちさとがセットしてあげて一旦似たようなリアクションして、「はいっこれがたきなのこのお店での制服ね♪着替えたらホールに出てきてね~」みたいなやり取りをしたんだろうな…😌

22:39 ミカ「…!!!」

その表情は10年前の手術を終えた後姿をくらました元恋人との再会の顔だったのか!!重たすぎる!!!

しかしこのSNS投稿写真でミカとちさとが喫茶リコリコにいることを知ったって5話の予告でシンジは言ってたよね?ノータイムすぎん…?

最初からイントロロングバージョンのEDだったのね、引き伸ばされてる部分にシンセサイザーが入るところが好き😌

2話

1話と3話に挟まれて存在感が薄くなりがちな2話だけど、特に前半ウォールナットと合流するまでのちさとがずっとかわいかった!!!そういう回だったの思い出した!!

21:01 ミカ「最近よく来てくれるね」

半ば常連化しているシンジへの台詞。ミカさん嬉しさが隠しきれてないな。笑

21:51 シンジ「すっかりレディだな」

まじこっからずっと父親ヅラしてたんだな~~!!!アラン機関のコンプライアンス違反を止められてねえぜ!!!

3話

最も好きで一番良く観ている回なので、新発見は少なめだった。

6:53, 7:06 のフキ

記憶より久々に会ってそわそわしてる。バディ解消して以来初めての再会だったのかな。

サクラ登場の一連のシーン

今見返すと普段より三割増しでイキってるサクラに可愛気すら感じるな。笑

4話

9:24 千束「人間一生で食べられる回数は決まってるんだよ?」

やはり4話のレビューを書いた当時に想像したとおりだった…。「一生で食べられる回数」がちさとは圧倒的に少ないってことじゃん…(T_T)

15:45 ミカ「ああ…もちろんだ」

ミカはこの時どういうつもりで使命を果たしていると胸を張って答えていたんだろう。どうせバレないとでも思っていたのだろうか…。

#9に続く