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ドイツ出張記 その2:2日目 初めてのブレーメン散策

はじめに

ドイツ滞在記第2弾。2日目、2月9日に街を散策した記録をお届けします。

2月9日 木曜日 (9. Februar, Donnerstag.)

ドイツで迎えた初めての朝。今回は研究のための短期留学のような位置づけの出張で、現地の大学でお世話になるAさんはかつて私が研究室でお世話になり、今も論文の共著になり指導していただいている方である。Aさんとは昨年6月の国際学会で、研究室を離れて以来2年半ぶりの再会を果たしていた。そこからまた半年空けていたので、初日はブレーメンの街を案内してもらえるかと心躍らせていたが、どうやらリモートワークと家事でいそがしいらしく、対面は翌日までお預けになった。そういうわけで今日はまだ現地で拠点とする研究室には顔を出さないし、着いた翌日だからゆっくりしてね、とAさんに伝えられる。そこでひとり街に繰り出し街の中心部を散策することにした。特に海外旅行では、初めて訪れた街は地図に頼らずにあちこち歩いてみるのが、街のつくりや雰囲気を感じるのに効果的である。

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とりあえず中央駅まで歩いてみた。朝になって改めて全貌を眺めてみる。この駅舎好きだな。


歩いてみると自分の滞在しているアパート*1がめちゃめちゃ好立地な場所にあることが分かる。それでも大学のゲストのための施設なので、特に長期滞在すると1泊あたりがかなり安くなる。ありがたい。

部屋の窓から見える景色。川を挟んで向こう側に街の中心部が見えて素敵。

寒いことは寒いがダウンコートを羽織るほどではない。朝ごはんに駅前でサンドを買って食べる。英語でしかコミュニケーションできないことに身構えてやってきたのに、駅前のお店では英語すらも通じずドイツ語でのコミュニケーションをする。なんとか問題なく4ユーロでパンにハムとチーズの挟まったかんたんなサンドを買って宿に引き返した。

昼間に今回お邪魔する研究グループのミーティングに参加して挨拶する。なんとかアドリブでつっかえながら自己紹介を終えて安堵。その後はひとりずつ1週間の進捗の振り返りをしている様子を見て、うちの研究室も毎週とは言わなくてもこうした定期的な進捗確認があればいいなと思った。ありがたいことにzoomでのミーティングだったので、顔と名前が一致するようスクショを撮った。ミーティングの後Aさんと個人zoomをする。

予定を確認して今日のミッションを整理。まず再度宿を出てスーパーに向かった。実は私は、ドイツのスーパーで食材を買って料理を作るのを楽しみにしていた。特に4年前に訪れたストラスブールのクリスマスマーケットで食べたシュークルートを作って食べたいと、日本を出る前から思っていた。

クリスマスマーケットはドイツやオーストリアのさまざまな街で、クリスマスの1ヶ月前くらいから広場に多くの屋台が並び、ホットワインホットチョコレート、クリスマスの飾り付けと言ったあれこれを楽しむイベントである。メリーゴーランドが設置されることもある。ストラスブールはドイツの国境にほど近いフランスの街だが、クリスマスを過ぎた年末までクリスマスマーケットが引き続き開催されていることを知ったので訪れることにした*2

そこで出会った料理がシュークルートである。ザワークラウトとじゃがいもとベーコンとソーセージを一つの鍋に入れてコンソメスープにする大胆な料理である。シュークルートという言葉そのものはフランス語でのザワークラウトの意味だそうで、後に研究室のメンバーにシュークルートを作って食べたと写真を見せながら話したら、ザワークラウト…?とピンとこない表情をしていた。

www.kyounoryouri.jp

ザワークラウトを見つけるのが難しい日本で食べるとしたら、このレシピが作りやすそう。

シュークルートを作るのに必要な食材はザワークラウト、じゃがいも、玉ねぎ、豚バラ(ベーコン?)のブロック肉、コンソメ、白ワイン。初めて訪れたスーパーには沢山の白ワイン、沢山の肉、沢山のザワークラウト、ハム、チーズ、…が並んでいて、それぞれどういう違いがあるのか、ドイツ語が3単語くらいしかわからない私には判断するすべがなかった。手に取ったハムがVEGANと書いてあるのを見て、普通のお肉のハムが買いたいのだと違う棚に移動するくらいはできた。こちらはヴィーガン用の棚があるほどメジャーなのだなあという印象を受けた。それ以外のことはほとんどわからないので、勘で色々買ってみた。このスーパーでの出来事によって、分からない単語を見つけるたびにGoogle翻訳に頼るのがめちゃめちゃ面倒なことに思い至り、英語を使うか、通じない場合は勘で行動するようになった。まあそれでも大抵の場合なんとかなる。

レジも日本とはいろいろな違いがある。レジ係の人は座っていること(私も立って業務をこなす必要があるとすればスペースの問題くらいだと思うので、座って仕事するのはいいと思った)、かごからすべての商品をベルトコンベアの上に載せ、自分の買うものと前後の人が買うものの境界を示す棒を置くこと、順番が来たら必ず最初に”Hello”、最後に”Danke”と店員さんに言うこと。支払う前にカバンに食材を詰めていいものかしら、とまごついていたら、レジの人に誰かを注意するときの顔でドイツ語でなにか言われたので、おそらくさっさと詰めなさい的なことを言われたのだと思う。これも日本の感覚では、精算前の商品をカバンに詰めるべきでないと考えたが、幾分事情が違うようだった。

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スーパーで買った物を持ち帰って再度街の散策に出ることにした。まず中央駅まで歩いてみて、大学に行くためのウィークリーパスを買った。ドイツでは改札がなくて、トラムに乗っている時に有効な切符を持っていないと60ユーロの罰金を取られるシステムなので、正しいチケットを買えているかドキドキしながら買う。ウィークリーチケットは幸い翌日から16日までと有効な期間が印字されているからわかりやすい。そして市内のほぼ全域でバスとトラムを乗っていいということで安心した。駅前からの帰り道にはカリーヴルストを買って食べた。ソーセージをケチャップベースのカレーソースをたっぷりつけて食べる料理で、ドイツでは代表的なスナック。買い食い楽しい。

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街の中心部でようやっと「ブレーメンの音楽隊」の像を見つけた。街の象徴だし、この像はこっち!歩いて何分!ってあちこちに書いている割に、大きな建物*3の脇にぽつんと鎮座していて、知名度が高く街の象徴である割に小さな存在感だった。

夕方にAさんに翌週末の旅の計画を伝えて、旅行の往復のチケットや美術館の予約をした。私の滞在するアパートは土足で入れるスタイルだったのでスリッパが必要だな、とか、シャワー室には髪の毛ポケットが無いけどそのまま流しちゃって大丈夫なのかしら…?とか*4、色々と気になることが出てきた。19時頃に時差ボケで眠くなったのでさっさと寝て、翌朝に備えた。

翌日に続く!

いよいよAさんと再会します。

*1:家具が揃っていて1泊ごとの料金を払うこと、定期的に掃除してもらえることはホテルと同じだが、キッチンが付いており洗濯機やゴミ捨て場もあって、掃除は週1である点ではアパートと呼んで差し支えない。という意味でこの宿泊施設自身アパートを名乗っている。

*2:帰国してから、奇しくも鹿児島市ストラスブール姉妹都市であることを知った。今の鹿児島市内には姉妹都市号として、ストラスブールのクリスマスマーケットの街並みが描かれた路面電車が走っている。

*3:この記事を書くために調べていたら旧市庁舎で、真横のマルクト広場中央に立つローラント像と併せて世界遺産に指定されていることが判明した。道理でこの建物も存在感を放っているわけだ。

*4:結局極力髪の毛を流さないように注意をはらいながらシャワーを浴びている。笑