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2022年1-2月に出会った曲たち その4:五等分の花嫁&かげきしょうじょ!!編

はじめに

様々なアーティストの曲を初めて聴いていっぺんにヘビロテする時期が訪れた今年の冒頭2ヶ月。そこで出会った曲たちをひとつの記事で書ききろうと思ったが、アーティストやタイアップ作品ごとにそれなりの分量になったので、それぞれ一つの記事にして好きな曲をレビューしていく。これまでの3回で、それぞれOfficial髭男dism、羊文学、never young beachを紹介してきた。4回目の今回はアニメ「五等分の花嫁」と「かげきしょうじょ!!」編です。

アニメの主題歌はアニメの内容を受けて発注され、時にキャラクターを演じる声優がそのキャラクターとして歌う。今回取り上げる曲もキャラクターが歌唱する曲である。一般的に、楽曲を好きになったり聴きたくなったりする動機には、メロディが好きとか演奏が好きとか歌詞に共感するなどの主要な要因の他に、その曲が制作された過程に感動を覚えたり、歌い手の背景に共鳴してメッセージが届いたりするメタ的な要因もある。キャラクターが歌唱するアニメ主題歌はそうでない文脈で制作された楽曲よりも、そうしたきっかけでリピートする機会が多い。こうした考えのもと、アニメ主題歌の評価を「好きになり方」にもとづいてクラス分けすると、こんなふうになると思う。

  1. アニメを知る以前に曲が好きになった。マイアニメブームがひと段落しても繰り返し聴いている。演奏とかメロディとかのヘビロテポイントがひとつはある。劇中では出てこないのに好きになってヘビロテする。
  2. オープニング(エンディング)で繰り返し流れるうちに洗脳される。レンタルやデジタル購入してプレイリストに組み入れてヘビロテする。聴いてると頭の中で一緒に映像も流れる。アニメブームが去って一段落すると聴かないようになる。
  3. オープニング(エンディング)で流れるのが好きで、楽曲を手に入れてみたものの、単独で聴くモチベーションはあまり上がらず、ライブラリに埋もれていく。
  4. 楽曲を手に入れるほどじゃないが、メロディを思い出せる程度には好き。
  5. あんまり好きじゃない。なんならOPとEDを飛ばす。 

今回紹介する楽曲はいずれも1~2に該当する。

五等分の花嫁

本ブログでも何度か取り上げている「五等分の花嫁」、主題歌は1期OP、2期OP/EDを主人公の五つ子5人が歌っている。シーズンが進んだことによる各キャラクターから風太郎への心情変化が感じられる。

五等分の気持ち

1期OP主題歌。わりと間延びした感じのメロディで、楽曲としての完成度はあまり高くなく感じてしまうけど、なんだかんだOPで流れると一緒に熱唱してしまう。イントロの5人のセリフを真似るのが楽しい。五月の中の人が一番歌が上手な気がする。2番の三玖の「ずっとこんな関係続いたらいいのにな」の伴奏のピアノが良き。ていうか最初に花嫁は一人って言ってるんだから「We are the brides」はおかしいでしょう、「One of us is the bride」じゃん。まあ本当にそう歌ってたらくどいな(笑)

五等分のカタチ

2期OP主題歌。こっちはギターとビートがさっきよりかっこいい。叫びたくなる感情の高まりに高音を載せるのが上手。三玖の歌声好き(結局推しが歌っているのがヘビロテポイントという結論に落ち着いてるやつ!)。映像も2期のほうが好き。クレジットの出し方が幾何学的にスタイリッシュだし、転換のさせ方がかっこいい。イントロの四葉の「うぇえ…」が癖になる。A・Bメロで各キャラクターが数字をつぶやく掛け声好き。四葉パートの抑えめなメロディがエモい。五月パートの後にたまに架空の6が聴こえてくる(ホラー)。1期から比べて二乃が吹っ切れて、終始感情を爆発させて叫んでいるのが良き。1期では終始五等分(皆横並び)が強調されてたのが、ここでは「独り占めしてもいいかな」に変化しているのが、これから本格的に誰が選ばれるかの話が進むのを予感させてワクワクする。

はつこい

2期ED主題歌。しっとりしてるけど飽きにくい。メロディはまあ好きなんだけど歌詞はちょこちょこ突っ込みどころがある。毎度聴いてモヤるのは2番Aメロ。「もしも君以外の別の人に恋していたら 同じように苦しかったの?」に対する「いいえ違うよ 始まりもしなかったよ」は答えになってなくない?恋したというのは始まってたとしたらどうなるでしょうねってことやん。あと「いいえ違うよ」ってなんか日本語としてすっきりしない。「ううん、違うの」とか(ハミングになっちゃうから歌詞としては苦しいかもしれないけど)、「そんなことない」とか、「違う、違うよ」とか色々あったと思うんだけど。。。まあ各パートの歌詞が各キャラクターにマッチしてる点では好き。

これからも五等分

これが冒頭で紹介した1番曲、本作で制作された曲の中でイチオシ。劇中では採用されていないキャラソンだけど「テッテッテー テッテッテレー」というポピュラーなビートに乗ったオーソドックスなメロディが軽快で良き。主題歌として映像は作りにくいから採用されなかったのかもしれないけど、曲の完成度としては採用されててもおかしくなかったと思う。歌詞に全員の名前が割とわかりにくい感じで、こじつけすれすれの絶妙なバランスで入っているのが好き。こういう言葉遊びは全体の歌詞の完成度が高いと好評、低いと不評に終わるのだけど、この曲は見事に前者として成り立っている。「翼広げ行きます」とか、名前を入れようとしなきゃ思いつかなそうなフレーズだけど、四葉のことをよく言い表してて好き。そして1番は五つ子がそれぞれ自分のことを歌っていて2番では彼らから見た風太郎を歌っているのが素敵!しかも歌う順番変えてきた!!三玖のサンキュがかわいい!!(隙あらば三玖推し)

かげきしょうじょ!!

星の旅人・シナヤカナミライ・薔薇と私

かげきしょうじょ!!は、主人公たちが歌劇団のスターを目指して養成学校に入学し、成長する様子を送る物語である。参加している声優の何人かが宝塚出身だったり、宝塚の楽曲を作ったことのある人が音楽を担当していたりと、オーセンティック度が高い。ここで取り上げる主題歌の3曲は、主人公たちが将来スターになったときをイメージして作られた歌だそうで、劇伴の製作者が作曲している。ついでに作詞も任されたそうだが、この3曲の何が面白いって、全部同じメロディだが、違う歌い手が違う歌詞を歌っているところ。だから3部構成の12分の曲みたいな気分で聴ける。「薔薇と私」の人の歌声が一番上手でかっこいい。皆本当の宝塚にいそうな感じがしてかっこいい。宝塚観てみたい。このアニメも銀幕デビューまでを見届けたいけど、売上が伸び悩んでいるらしい。。。

おわりに

やはりアニメのキャラクターが歌う主題歌は、そのアニメのキャラクターに対する思い入れがどのくらいあるかが評価に関わるのだと思った。というか、作者に都合のいいコマとしてではなく、キャラクターの意志によって自ら動いていると感じることができるかによって、そのキャラクターが実在しているかもしれないという錯覚に陥ることができるかが、実在するアーティストの楽曲と同列に評価できる必要条件なのである。まあキャラクターへの思い入れが持てない場合でも、声優が声優自身として歌っているという認識で聴いて楽しむことはできるだろうけど。